教室紹介

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臨床腫瘍学教室

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 がんは国民病であり、現在、日本人の死因の第一位を占め、年間およそ38万人ががんで死亡している。国民の2人に1人が一生のうちなんらかのがんに罹患し、3人に一人が命を奪われている状況である。このように重要ながんという疾患に対する対策として、国は2007年4月、がん診療の基盤整備としてがん対策基本法を制定し、現在、第三次がん対策基本計画が施行されている。2018年3月に「がん対策推進基本計画」の変更が行われ、①「がん予防」、②「がん医療の充実」、③「がんとの共生」、①「これらを支える基盤の整備」が施策として挙げられた。当教室では、②「がん医療の充実」に掲げられている「がんゲノム医療」、「がんの薬物療法、免疫療法」、③「がんとの共生」の重点課題「緩和ケア」、に対する診療、教育、および臨床研究を実施する。これらに加え、①「がん予防」における「がんの早期発見」を可能とする革新的早期発見ツールの開発、「がんゲノム医療」に関するバイオマーカーの発見や臨床応用、「がんの薬物療法、免疫療法」の新規開発と臨床応用を本教室の根幹的研究項目として鋭意研鑽を行なっている。標準治療はもとより、がんの本質的病態の理解と解明に務め、新規治療法や診断技術を開発する一方、緩和ケアを通した全人的医療者の育成を行い、患者ひとりひとりの人生に寄り添うことのできる医師をともに目指す。

研究分野及び主要研究テーマ

 がん細胞は、生体において免疫担当細胞を中心とする宿主細胞とがん組織を形成し、細胞性および液性の相互間応答の上に増殖、進展、転移し、複雑ながん病態を形成している。がんを細胞・分子・遺伝子レベルで解析し、局所および全身病として把握・解明することは、革新的がん早期診断・がん治療を開発するうえで重要である。当教室では、以下の項目の研究を行なっている。

1)先進的がん免疫療法

  1. 革新的Adoptive Cell Transfer (ACT)治療法の臨床応用
     当教室が長年積み重ねてきたACT治療技術である「活性化自己リンパ球を用いたがん治療」の臨床成績・研究実績をもとに、先進医療Bへの展開を行なっている。また、新たな改変リンパ球誘導、さらに、免疫チェックポイント阻害剤との併用を視野に入れた研究を行なっている。今後はLiquid Biopsyから得られる「がんゲノム情報」を組み込み、治療の時間軸(いつ何をどれだけ投与するか?)を考慮した革新的「活性化自己リンパ球を用いたがん治療」の開発を行う。
  2. 固形がんおよびがん性胸腹水病態における局所的および全身的な免疫応答の解析とがん免疫療法の導入

2)固形がんに対する分子標的薬の個別化治療の確立とバイオマ-カ-の探索的研究

  1. 固形がん細胞に対する分子標的研究
     現在、数多くの分子標的薬が開発され臨床応用されているが、がんの発現遺伝子解析や原因遺伝子解析はまだ十分とは言えない状況であり、in vitroにおけるオルガノイド構築を用いた解析は重要である。
  2. 腫瘍組織内発現遺伝子を基盤とした新規がん分類と分子標的薬適応のアルゴリズム開発
     従来の病理組織型による分類ではなく、患者腫瘍組織内発現遺伝子プロファイルによる新規がん分類の構築を行い、数多くの分子標的薬から、本当に治療効果のある患者集団を同定するアルゴリズムの構築を行う。

3)実践的緩和医療研究

  1. オピオイド使用における病態別選択やタイトレーションに新規手法を導入する臨床研究
  2. 循環血液中エピゲノム変化の検出による終末期症状の予測と治療効果判定技術の開発
  3. 終末期における内分泌・神経・免疫系の動態解析および「こころ」の客観的評価法の開発

4)がんゲノム研究

  1. がん再発予測法の開発
  2. がん薬物療法効果予測法の開発
  3. がん先制医療の構築

医学研究科

 医学研究科として形態系腫瘍病態治療学専攻を設ける。大学院生は上記重要テーマのもとに学び、がん病態解明の分子生物学的研究について協働する。