教育重点及び概要
産婦人科学は周産期医学、婦人科腫瘍学、生殖内分泌学、そして更年期や排尿障害などを扱う女性医学の4つの分野にまたがる。これらの分野は疾患や病態によりそれぞれが密接に関係するとともに、基礎医学、新生児・小児科学、病理学、泌尿器科学、外科学、麻酔科学、放射線科学などの関連科とも診断、治療の上で密接に連携している。
産婦人科学2では産婦人科学1、婦人科腫瘍学教室などと共同で、第3学年の「生鮮・生殖器」のブロック講義を分担担当している。この中で前述の産婦人科学の4分野の中では婦人科領域、特に婦人科腫瘍学、女性医学の講義を行っている。学生は産婦人科学及び生殖医学について基礎的な知識を習得し、4・5年次の病院での臨床実習及び国家試験などの対応に備える。臨床実習では総合医療センターにおいて、コルポスコピーなどの診断実習や婦人科腫瘍学、女性医学の範囲の実習を行っている。また第6学年における集中講義を分担担当し、国家試験対策を行っている。
研究分野及び主要研究テーマ
産婦人科学2教室では、主に婦人科悪性腫瘍に対する臨床研究および基礎研究を行っている。臨床研究では中国・四国・関西圏の多施設臨床研究グループである三海婦人科癌スタディーグループ(SGSG)の事務局を運営しており、SGSGや婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG) での多施設共同臨床試験に多くの症例を登録し、臨床データの集積や解析を行っている。また婦人科がん治療において、リンパ節郭清や放射線照射後の後遺症として非常に問題となる下肢リンパ浮腫に対して、その発症率低下を目指した術式の工夫や、術後ケア、発症の早期発見、治療の臨床研究を行っている。また子宮頸癌やその前癌病変である異型上皮に対する妊孕性温存治療の術式工夫と、その後の妊娠アウトカム向上を目指した臨床研究を行っている。
基礎研究としてはヒトパピローマウイルス(HPV)が発癌の主原因である子宮頸癌に対して、その癌原遺伝子であるE6に着目し、そのターゲットであるTP53蛋白と内因性ユビキチンリガーゼであるE6APを標的とした新規治療の開発をテーマにして取り組んでいる。また女性ホルモンであるエストロゲン依存性腫瘍である子宮体癌に対する、各種の植物性エストロゲン類似物質の増殖や形質転換、腫瘍形成能に及ぼす影響を検討している。