スタッフ紹介
教育重点及び概要
婦人科腫瘍学教室は産婦人科学教育及び附属病院における婦人科内視鏡手術、低侵襲手術の施行等婦人科部門の更なる充実を図るため、平成25年9月に新設された教室である。
産婦人科学1教室は、産婦人科学全般を担当教育するが、婦人科腫瘍学教室ではとくに産婦人科学のうち婦人科腫瘍学、婦人科病理学、婦人科細胞診断学、婦人科手術学、婦人科内視鏡手術学を担当教育する。
子宮頸部癌、子宮体部癌、卵巣癌を中心とする婦人科悪性腫瘍の診断、治療において婦人科病理学、婦人科細胞診断学は非常に重要でありその根拠となるものである。一方、化学療法を中心とする集学的治療の進歩も著しい。また、良性疾患、悪性疾患ともに手術療法はその治療の根幹をなす。また、その中での腹腔鏡手術の発展は目覚ましい。近年その適応は悪性疾患にも広がった。ロボット支援手術も始まっている。時代の変化に即した最新の診断・治療指針を教育することを目標とする。
1) ブロック講義
3学年におけるユニット科目名「性腺・生殖器」において産婦人科診察法、検査法、婦人科良性疾患、手術療法を担当する。また、同じく3学年におけるユニット科目名「女性内分泌・妊娠」における産科手術を担当する。
2) その他の講義
6学年における臨床必修事項演習ならびに臓器別総合講義において該当分野を担当する。
2) 臨床実習
第4・5・6学年では産婦人科の臨床実習を行っている。担当学生はチームに所属し、術前検査、手術に関するIC、検討会における症例提示、手術への参加、術後管理、検討会における術後経過の報告など一連の臨床の流れを経験する。また、臨床研修センターあるいは実験室において内視鏡手術に関する結紮、縫合の技術を実習、経験する。
- 自己点検・評価と課題
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講義は複数の講師による担当であり、全体として産科婦人科学となっている。その中で、診断学、腫瘍学を中心に担当している。画像や配布資料の充実を図り学生の理解を助けている。また、事前打ち合わせ等で講師間の連携をとり膨大な講義範囲の中で漏れがないように配慮している。試験問題についても同様である。
臨床に関しては平成26年度より婦人科内視鏡手術チームを立ち上げ、症例数は著しく増加している。これを受けて、手術には学生をより一層積極的に参加させることにより、術前から術後管理までの一連の臨床の流れが教育できるようになった。
研究分野及び主要研究テーマ
1) 婦人科腫瘍学関連
・各種婦人科癌・良性腫瘍における血管新生因子、血管新生抑制因子の発現とその意義に関する研究を病理学2教室と共同で進めている。
・子宮内膜症の病因を、細胞接着因子の解析から研究する。
2) 婦人科手術学関連
・婦人科良性疾患に対する腹腔鏡手術の術式とその適応に関する研究を行っている。
・婦人科悪性疾患に対する腹腔鏡手術の導入とその適応に関する研究を行っている。
・腹腔鏡手術におけるDVTの発現に関する研究を行っている。
- 自己点検・評価と課題
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大学院生の入学を受けて、とくに卵巣がんを中心に血管新生因子、血管新生抑制因子の発現とその意義に関する研究を病理学2教室と共同で開始している。すでに論文が完成し終了の予定である。来年度の入学者も決まっている。
婦人科手術学に関しては腹腔鏡手術症例の増加を受けて、日本産科婦人科内視鏡学会の施設認定を受けている。技術認定医資格を取得するには認定施設での研修が義務化されている。来年度、教室員初の技術認定医資格取得を目指しており、準備中である。
また、施設基準・術者基準を満たし、平成26年9月から子宮体がんへの腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術が健康保険適用となっている。20例を超える症例が蓄積されたが、報告すべき偶発症や合併症はなく、手術成績も良好であった。これら手術の安全性・確実性が確立できたと考えている。次に子宮頸がんへの応用、すなわち先進医療である腹腔鏡下広汎子宮全摘術の開始が課題となるが、近々の導入を目指している。
今年度の方策
平成25年9月に新設された教室であり、まず臨床を軌道に乗せることが最優先課題であった。その後環境を整え、腹腔鏡手術を開始、さらに平成26年度には腹腔鏡手術チームを立ち上げた。その結果、手術数は徐々に増加し、学会の施設認定を受けるに至っている。手術枠には限界があるが、年間手術件数200件を目指している。悪性疾患への取り組みも順調に進んでいる。
まだまだ所属人数は少ないが、臨床、研究ともに順調に進み出している。これら臨床成績、研究成果を対外的に発表することにより、さらなるスタッフの充実に繋げたい。
また第60回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会を担当することになった。平成32年8月に開催予定である。