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総合臨床医学教室General Medicine

総合臨床医学教室

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 総合臨床医学教室は患者さんの多様な症状や価値観、複雑な問題に対応できる“総合診療医”の育成に重点をおいて教育を行っている。
 近年、医療を取り巻く環境は大きく変化している。これは医療の高度化と疾病構造の変化によって説明できる。医療の高度化によってエビデンスが集積され治療可能な疾患が増加している。医療の高度化は同時に専門性の追求を加速し、医師が特定の部位や疾患に興味を持つ傾向を招いている。さらに、高度な医療は患者さんへの経済的な負担を増加させ、経済格差が健康格差につながる可能性を内在している。一方、高齢化を背景に疾病構造の変化が起きている。つまり、多様な背景や複数の疾患をもつ患者さんが増加し、高度な医療によっても解決できない健康上の問題が生じるようになっている。

 我々は、医学的のみならず心理・社会的にも複雑な問題を抱えた患者さんに対応でき、真のEvidence-Based Medicine(EBM)を実践できる医師が“総合診療医”であると定義し、“総合診療医”を育成するために以下のような教育を行う。

卒前教育

●第3学年
■臨床実習Ⅲ
 すべての医師が身につけておくべき診療の基本となる、医療面接や身体診察についての基礎的知識及び技能を習得する。

●第4及び第5学年
■臨床実習Ⅳ・Ⅴ(総合診療科)
 外来診療教育として、様々な症状や理由で大学附属病院総合診療科を受診した患者に対し学生が指導医とともに医療面接及び身体診察を行う。これらを行った上で、診察結果を指導医と共有し必要な検査を計画する。また、医療面接や身体診察、ベイズの定理を用いた確率的臨床推論などを復習する。

●第6学年
■臨床実習Ⅵ(総合診療科)
 外来診療教育として、様々な症状や理由で大学附属病院総合診療科を受診した患者に対し、学生のみで、医療面接及び身体診察を行う。その際、遭遇する頻度の高い疾患や見逃してはならない疾患に分けて鑑別診断を考慮する。その上で、診察結果を指導医に報告し、必要な検査を計画する。

卒後教育

“総合診療医”になるための卒後教育には初期臨床研修(2年間)とその後の専門研修(3-4年間)とがある。専門研修は、一般社団法人日本専門医機構に認定された総合診療専門研修プログラムである。

  • ●初期臨床研修教育(総合診療科)
     初期臨床研修では、医師であれば必ず身につけておかなければならない基本的技能を実践できるようにならなければならない。つまり、医療面接や身体診察、臨床推論、EBM、患者中心のコミュニケーション能力である。特にかぜ診療(患者がかぜをひいたと訴えて受診する症候群)において、かぜのような症状にもかかわらず、かぜではない重篤な疾患を見極めることができるようになる。
  • ●専門研修教育
     専門研修教育では、上記に加え、健康上および心理・社会的、経済的に解決できない複雑な問題を抱える患者に対して多職種と連携しながら対応する。さらに、日常診療で生じた、解決できない複雑な問題や疑問(クリニカル・クエスチョン)を検証可能な形(リサーチ・クエスチョン)に整理し、情報収集と批判的吟味を行う。その上で、これらに対して、基礎研究や臨床研究を計画及び実践する。

研究分野及び主要研究テーマ

1)体外式超音波を用いた消化管運動機能評価

 消化器症状と消化管の形態及び運動機能との関連を、超音波による非侵襲的な検査によって明らかにする。

2)診療の質に関する研究

 患者が「かぜをひいた」と訴えて受診する“かぜ症候群”に対する診療の実態調査及びかぜ診療の質指標を開発する。