教室紹介

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心臓血管外科学教室Cardiovascular Surgery

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 心臓血管外科は外科的治療の対象となる心臓、血管疾患などの循環器疾患の教育、研究と診療を行う部門である。当科は外科のなかでも特殊な専門的知識と技術を要する分野ではあるが、心疾患の診断と治療方針、手術適応の決定ならびに術後の呼吸と循環の管理に関する知識と技術は、将来外科系以外の臨床医を志す者にとっても必須のものである。さらに、血管外科の基礎はすべての外科系各科において手術の基本的手技となる。当科の臨床教育には心臓、血管の解剖ならびに循環生理など基礎医学の知識が要求され、充分な復習を行っておく必要がある。診断の基本となる理学的所見のとり方、および各疾患における所見などを理解していることも重要である。また、心臓、血管疾患の画像診断は当科の臨床に特に重要な項目であり、胸部X線、CT、MRI、超音波検査、心臓血管造影像、シンチグラフィーなどの画像所見の読影能力を得ることが要求される。

講義

 1年生の“循環器・内分泌ユニット”で循環器系の病態(1)心虚血、血行不全、2年生の “臨床入門ブロック”では「臓器移植医療の現状と課題」と「スポーツと医学-反ドーピングを含める-」を担当している。また3年生では、“循環器系Ⅱ”で心臓外科-心臓手術の補助手段、先天性心疾患、心臓弁膜症の外科、心外膜疾患、心腫瘍、虚血性心疾患の外科、心筋梗塞の外科的合併症、補助循環、人工心臓、心臓移植、末梢血管、動脈静脈の外科解剖と生理、大血管を講義している。6年生では、国家試験対策の講義を行っている。

臨床実地教育

 5年生の臨床実習では学生は1患者を受け持ち、主治医の指導のもとに的確な病歴の聴取と理学的所見から病態予測、鑑別診断、確定診断のための検査方針ならびに治療方針に至る思考の過程を学習させる。また、受持ち患者の手術及び術後管理には参加させ、スタッフの1人として患者の治療にあたることも経験させる(クリニカルクラークシップの実践)。主要疾患について各教員から症例提示、臨床講義が行われ、検査所見の解釈とその病態を自ら学習する習慣を身に付けさせる。
 全症例検討会で受け持ち患者のプレゼンテーションを行い、自身でアセスメント・問題点の解析・対処の検討を行う。実習の評価は、実習態度、行動、発言に積極性があるか、解剖、生理などの基礎的知識があるか、関連するブロック講義の理解度 理学所見、検査所見の解釈とその意義、自己学習ができるか、などにより行う。

研究分野及び主要研究テーマ

 教室の研究は心臓血管外科を主な分野とし、研究テーマは

血管外科では

  1. 急性動脈閉塞症や慢性閉塞性動脈疾患の病態と治療に関する臨床的研究
  2. 血管内治療、大動脈瘤のステントグラフト治療
  3. 重症虚血肢に対する新規治療法開発に係る研究
  4. 下肢静脈疾患の新規治療法開発と長期成績に関する研究

心臓外科では

  1. 所謂フレイルが手術成績に与える影響の研究
  2. 術前術後リハビリテーションに関する研究
  3. 抗血小板剤、血小板凝集能と術後出血量との関係に関する研究

などが行われている。

昨年度の自己点検・評価と課題
 末梢動脈閉塞性疾患の病態と治療評価の臨床的研究、静脈疾患の治療に関する臨床研究及び血小板に関する研究は一貫した研究が続けられ、その成果は公表されている。人員の不足と診療業務が極めて多忙であるため、基礎的、実験的研究に割く時間的余裕が少ないが、臨床例で自己血小板に関する研究を始めており、今後もより効率的な診療、研究活動を行うことが望まれる。
 小切開心臓手術など新しい領域への躍進を計画しており、それらを通じて学生に臨床的興味を持たせると同時に、世界をリードする成績を出していく。