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精神科学教室

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スタッフ紹介

教育重点及び概要

 人の心の中に入ることが精神科医の仕事であり、精神科医には「冷静な頭と温かい心」の両方が求められる。患者の症状を客観的に把握しつつも、 その苦しみに温かい思いやりを持って接することが必要である。そして、患者の苦しみを正しく理解するだけでなく、その悩みを生ずるに至った患者の生活史や 生活環境などを理解するという視点も重要となる。
 卒前教育では、系統講義において精神医学の一般的知識を習得し、臨床実習においては症例を通じて個々の患者の個別性に配慮するよう指導している。 臨床実習では病棟だけでなく外来実習も充実させるよう努めている。
 卒後研修では、精神科の基本的な疾患の知識と治療について学ぶとともに、身体疾患を病む患者の気持ちを理解し、その悩みや苦しみに対応できるように なることを目標としている。

研究分野及び主要研究テーマ

1)青年期精神障害の臨床的研究

 青年期は、一過性の精神的な混乱をきたしやすいだけでなく、統合失調症などの精神障害を発症しやすい時期であり、また摂食障害や対人恐怖など 思春期青年期心性と深く関連する精神障害が起こりやすい時期でもある。特に、この時期は成人期に比べ、治療や援助という面で適切な対応がなされることが、 その後の経過に大きな影響を及ぼすことがある。このような事情を踏まえつつ、思春期青年期の精神障害として、統合失調症などの精神病の発病前駆期 「心の危機状態、At Risk Mental State」、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)、統合失調症様症状などについての研究を行っている。

2)強迫性障害の臨床的研究

 強迫性障害については、暴露反応妨害法を中心とする行動療法と、主として抗うつ薬を用いた薬物療法が有効であるという実証的な研究報告がなされている。 しかし、強迫性障害の背景に、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)やその傾向が認められる症例では症状や治療反応などが非定型であることが少なくなく、 そのような症例に対する診断や治療介入についての研究を行っている。

3)難治性気分障害の臨床的研究

 うつ病を主とする気分障害の受診者数が急増しているが、その病像は多様化しており、診断や治療法について戸惑うことが少なくない。 特に、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)を伴う場合には薬物療法および非薬物療法のいずれにおいても慎重な配慮や工夫が必要であり、 そのような症例に対する診断や治療介入についての研究を行っている。

4)がん患者及びその家族の精神医学的研究

 がんに罹患した患者では、5-10%がうつ病に、10-30%が適応障害に罹患するとされる。これらの精神症状を呈したとき、がん治療に対する姿勢や、 生活の質の問題が大きくなり、また治療やケアの在りかたにおいて倫理的問題が生じることが少なくない。がん患者の家族の身体的・精神的な苦痛も深刻な問題である。 がん患者の精神的支援の具体的な方法について、また患者と家族の心理的相互作用についての研究を行っている。

5)認知リハビリテーション

 近年、精神疾患の認知機能障害が注目されており、社会復帰を妨げる大きな要因と認識されている。認知機能障害を改善するためのプログラムの1つが NEAR(認知矯正療法)である。当教室では2016年より川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科と協力し、NEARを行っている。統合失調症だけでなく、 うつ病、双極性感情障害、発達障害などに対してNEARを行い、認知機能や社会的機能の変化についての研究を行っている。

6)川崎医療福祉大学との共同研究(動物実験)

 川崎医療福祉大学臨床検査学科と共同で、マウスを用いた研究を行っている。これまで、マウスにおいても共感様の行動が認められることを見出しており、 共感性の発達様態の解明や、共感性形成への介入の可能性ついての研究を予定している。