教室紹介

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放射線腫瘍学教室Radiology, Division of Radiation Oncology

放射線腫瘍学教室

スタッフ紹介

教育重点及び概要

放射線腫瘍学とは「放射線」を知り「腫瘍」を知ることで、より良い放射線治療の実践、開発を目指す学問です。基礎から臨床まで、また臓器横断的な幅広い知識が求められますが、講義(2学年から4学年)と実習(4学年から6学年)を通じて、最初は断片的に思える知識が有機的に結びつき、最終的には癌治療における放射線治療の役割を理解してもらえるような構成を心がけています。
卒前教育では、放射線の種類や作用機序、放射線治療技術の種類、適応となる疾患、治療効果や有害事象など修得すべき知識が多岐にわたります。当院で行っている外照射(定位放射線治療や強度変調放射線治療などの高精度治療)、小線源治療(腔内照射や組織内照射)のみならず、陽子線治療や中性子捕捉療法など最先端の治療についても専門施設と連携していますので、放射線治療全般について広く深く学べる点が当教室の特徴の一つです。さらに4学年以降の実習時には、外照射の放射線治療計画や小線源治療など実際の治療手技を体験・見学できる機会を設けているほか、癌患者の診察や自身が患者役となるロールプレイを通じて、緩和医療やコミュニケーションスキル、共有意思決定など、科を問わず卒後に役立つ教育内容も含めています。何よりも「一人の患者を責任持って治療するためには、放射線治療のみならず手術や薬物療法など癌治療全体を俯瞰できる視点を持ち、患者一人一人に寄り添う姿勢が不可欠である」ことを、身をもって感じてもらいたいと思っています。
卒後教育においては、放射線治療専門医を目指す医師に必要な知識・経験を身につけてもらうことは当然ですが、将来他科の専門医を目指す初期研修医にも、「癌総合医」としての臨床能力を身につけてもらいたいと考えています。卒前から卒後までシームレスに、放射線治療という専門性を武器に持ちつつ、全人的医療を実践できる医療者の育成を心がけています。

研究分野及び主要研究テーマ

1. 乳房温存療法患者の臨床データの分析

 1987年に開始して以来、乳房温存療法を受けた患者はすでに2,400名以上に達しています。2003年からは寡分割照射を導入しましたが、乳腺甲状腺外科との連携により寡分割照射の症例数も1,200名以上となっています。当院は国内でいち早く寡分割照射を導入しその経験を重ねていることから、先行施設として情報発信を続けています。

2. 前立腺癌の高線量率組織内照射

 泌尿器科との協働で1997年10月から開始し、症例数は現在までに1,100例を越えています。機器の進歩により治療方法は進化し続けており、引き続き本治療法の改良と、治療成績の検討及び分析を継続しています。また現在は放射線診断や泌尿器科と連携し、組織内照射を用いたfocal therapyの開発・確立にも取り組んでいます。

3. 血液疾患、悪性リンパ腫

 全身照射や消化管悪性リンパ腫の治療成績の検討、解析を行っています。