教室紹介

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薬理学教室

薬理学教室

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 医療には正確な診断と的確な治療が必要とされることはいうまでもないが、特に治療に際しては、内科系、外科系を問わず、薬物の投与が行われるため、将来医療の仕事に携わる医学部学生にとって薬理学の基礎知識は必要不可欠であり、充分な理解を深めることが必要である。
 薬理学は生体と薬物との相互作用に関する学問であり、薬理学の修得には、薬理学の履修以前にすでに学んできた医学の形態学的部門(解剖学、組織学、病理学)、機能的部門(生理学、生化学)及び免疫学や微生物学などの基礎的知識が基盤となる。これらの知識に立脚して、当教室では薬理学の授業を行い、以下に記すように将来臨床医として的確な薬物療法が行えるための薬理学の知識を習得させる。2019年度は、2学年で「生体と薬物」(薬理学総論と薬理学実習)と「薬物治療」(薬理学各論)を担当する。基礎薬理学として、薬物の薬理作用の発現機序、生体内における薬物の動態(薬物の吸収、分布、代謝、排泄など)、薬物の有害作用(副作用)とその発現機序、他の薬物との相互作用、臨床応用などを充分に理解させる。また、医療に従事する臨床医には、これらの基礎薬理学の知識に加えて、臨床薬理学の概念を理解し、かつ臨床薬理学的基礎知識を有することが必須であるので、基礎薬理学の授業に際し、臨床薬理学の基礎についても修得できるように配慮している。薬理学実習は薬理学の概念の理解を深めることを主眼とし、基本的な実習内容と実験手技を選択しており、実習時の討論を通して知識を確実にするように配慮している。

研究分野及び主要研究テーマ

 現在進行中のテーマとして以下のものがある。

1)線維化における脂質メディエーターの役割

 脂質メディエーターは、体内で膜のリン脂質から合成される細胞間の情報伝達物質で、主として、Gタンパク質共役型受容体のリガンドとして作用する。現在、肺線維症や腎間質線維化モデル動物を作成して、線維化の発症・進展における脂質メディエーターの役割を組織学、生化学、分子生物学、薬理学などの手法を用いて検討している。将来的には、脂質メディエーターの生理機能および病態生理機能を分子・細胞・臓器・個体レベルから明らかにし、脂質分子による新しい生体調節機構の解明と確立を目指していきたい。

2)機能性脂質N-アシルエタノールアミンの代謝に関わる酵素群の機能解析

 N-アシルエタノールアミンは抗炎症・鎮痛・食欲抑制などの生物活性を持つ機能性脂質であり、体内でリン脂質から生合成され、役割を終えた後に分解される。これらの反応を担う酵素群はN-アシルエタノールアミンの体内レベルの制御に深く関与するが、その全容は不明である。当該酵素群の阻害薬や活性調節薬を、炎症・疼痛・肥満などの領域における新規薬物として応用することを目指し、本酵素群の機能解析を精力的に進めている。

3)生活習慣病における血管機能障害の解析

 糖尿病や脂質代謝異常などの生活習慣病は現在増加の一途を辿っており、合併症の多くは血管機能障害に関連する。生活習慣病における血管機能障害の発症・進展に関わるメカニズムを分子生物学、生化学、薬理学などの手法を用いて検討している。血管機能障害に関与するシグナル分子を明らかにし、より効果的な予防および治療法を確立することで、重篤な合併症を防ぎ、患者のQOLの向上に貢献することを目指している。

4)小胞体ストレス応答を制御する因子の探索

 小胞体ストレスは、細胞のタンパク質合成の場である小胞体に折り畳み不全タンパク質が蓄積すること等で生じる。細胞は恒常性を保つために、小胞体ストレス応答 (UPR)と呼ばれる適応機構を活性化させるが、UPRの破綻は様々な疾患の発症に寄与する。現在、UPRを制御する新規タンパク質を分子生物学や薬理学等の手法で探索し、その生理機能の解明を目指している。