教室紹介

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形成外科学教室Plastic and Reconstructive Surgery

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 形成外科学は、微小外科(マイクロサージャリー)の導入により、対象疾患への治療の適応が拡大していく中で大きく発展してきました。また、従来の方法では治療できなかった疾患に対し、この技術を導入することで飛躍的に治療効果を向上させることができるようになったことも本技術の大きな役割の一つです。代表的な疾患のひとつに、リンパ浮腫があります。リンパ管吻合術やリンパ節移植術といったリンパ浮腫に対し行う外科治療は国内外でもトピックであり、当教室は本治療法を行っている国内では数少ない施設となっています。また、糖尿病性足壊疽や重症虚血肢などの難治性潰瘍に対して、従来法では大切断を余儀なくされていた症例であってもマイクロサージャリーにより救肢できるようになり治療効果が飛躍的に向上しました。また、悪性腫瘍切除後の再建手術における役割は、治療後の患者のQOLを機能的にも整容的にも向上させることにあります。乳がんに対する乳房再建では、主に自家組織による再建を行い、リンパ節を付加することでリンパ節郭清に続発する上肢のリンパ浮腫を予防しながら乳房を再建することにも取り組んでいます。また、頭頚部領域においても頭頚部がんに対する頭頸部再建や、顔面神経麻痺に対しては筋肉移植や神経移植を駆使し顔面の形態の回復のみならず機能的な再建も行っています。マイクロサージャリーは、四肢の外傷にも応用され、切断指など一度切断された組織の血管を吻合することで再び接合することができます。このように再建手術の守備範囲は広く、今後も様々な先端的な医療に取り組んでいきたいと考えています。
 川崎医科大学形成外科学教室では、卒後教育として専門医取得前は広く一般形成外科手技を習得し、専門医取得後は専門領域を深堀し各領域の第一線で活躍できる形成外科医の育成を使命と考えています。

研究分野及び主要研究テーマ

  1. 新規血管吻合法デバイスの開発
    針糸を使用しない、新規血管吻合法の開発を行います。この方法が普及すると初心者でも血管吻合ができるようになります。
  2. 超微細マイクロカテーテルの開発
    0.5mm以下のリンパ管でも対応可能なカテーテルの開発を行います。このカテーテルを使用することで、リンパ管内治療という新たな分野を開拓していきます。
  3. 自家組織移植による新規乳房再建法の開発
    リンパ節組織を付加した自家組織による乳房再建法の開発を目指します。本法により、上肢リンパ浮腫の発生を予防する新たな乳房再建が可能になります。
  4. 脂肪組織由来幹細胞による軟部組織欠損治療法の開発
    脂肪組織由来幹細胞を用いて、より生着率の高い脂肪移植法の開発を目指します。
  5. 四肢リンパ浮腫に続発する蜂窩織炎の免疫動態の解析
    リンパ浮腫に合併する蜂窩織炎に関する免疫動態を解析し、蜂窩織炎の発生頻度を抑制するための治療法の開発を目指します。
  6. スーパーマイクロサージャリーを用いた再建手術に関する研究
    0.5mm以下の神経・血管・リンパ管吻合の技術を用いて、様々な再建手術法を開発します。