スタッフ紹介
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教授齊藤 峰輝Mineki Saito
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准教授内藤 忠相Tadasuke Naito
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講師堺 立也Tatsuya Sakai
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講師沖野 哲也Tetsuya Okino
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助教三浦 未知Michi Miura
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助教國塩 幸Miyuki Kunishio
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助教後川 潤Hiroshi Ushirogawa
教育重点及び概要
医療技術や医薬の飛躍的な進歩にもかかわらず、世界で最も多い死因は依然として「感染症」であり、2011年には「肺炎」がついに「脳血管疾患」を上回り
日本人の死因第3位となった。また、ヒトの「がん」の実に約1/6は感染により引き起こされる(肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヘリコバクター・ピロリ、
ヒトT細胞白血病ウイルス1型等による)。すなわち、学生は将来臨床医になると選択する診療科を問わず、必ず感染症患者を治療する場面に遭遇する。さらに、
近年の医学の進歩や生活環境の改善による、易感染宿主やアレルギー患者の急増、エイズ、結核、新型インフルエンザ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの
新興・再興感染症の出現等により、微生物学の研究対象と臨床医学における重要性は飛躍的に拡大し、理解に必要な知識も増大の一途をたどっている。
これら毎年蓄積していく膨大な情報の中から、真に必要な情報を選択し学ぶのは容易なことではない。微生物学教室では、講義・実習を通して、病原体と宿主応答、
その他微生物学に関する基礎知識をしっかりと習得し、臨床に応用できる力を身につけることを目標に教育を行う。
微生物学の教育は、第2学年を対象に「生体と微生物」1~3として行われる。「生体と微生物」1(細菌学)では、細菌の形態、各細菌の病原性と
発症機序等について、コア・カリキュラムに準じて自家製プリントを用いて学習する。併せて真菌についても学ぶ。実習では、無菌操作を通して
病原微生物を安全に取り扱えるようになるとともに、講義で学習した細菌の特徴を実際に実験により確かめ、その特性を利用して未知菌を同定する技術を身につける。
「生体と微生物」2(ウイルス学)では、ウイルスの構造・増殖様式・ウイルス性疾患の診断と治療、予防等についての基本知識を習得するとともに、
ウイルス感染からウイルス遺伝子発現、宿主応答に至るまでの過程を題材として、分子から個体レベルまでの事象を総合的に考察する力をつけるための
講義・演習を行う。実習ではインフルエンザウイルスの感染実験を行う。培養細胞へのウイルス感染と増殖をつぶさに観察することで、ウイルス感染による
宿主への影響を実感するとともに、感染性微生物の適切な取扱技術を習得する。「生体と微生物」3(寄生虫学)では、ヒトの内部寄生虫である原虫・蠕虫を
中心に、それぞれの感染経路・症状・診断・治療について講義する。実習では、寄生虫症の診断に必要な検査材料から寄生虫を検出するための手技手法を学ぶ。
可能な限り実物の寄生虫に接する機会を多くして、学生の興味を喚起させる。各実習後は、実習内容に関する演習問題とレポートを課題として提出する。
- 昨年度の自己点検・評価と課題
- 学生が将来臨床医となった際に、感染症患者の診断・治療・予防について科学的根拠に基づいた的確な判断ができるように「微生物に関する基本知識を習得し、 発症のメカニズムを理解する」という教育目標を設定している。昨年度もおおむね達成されたと考えているが、引き続き、講義・実習の内容と手法について、 常にブラッシュアップして改善する努力を継続していきたい。
研究分野及び主要研究テーマ
- HTLV-1関連疾患の病態解明および新規治療法に関する研究
- バクテリオファージを用いた細菌感染症に対する新規治療法の開発
- マンソン孤虫症における宿主免疫応答の解析
- インフルエンザウイルス感染行動の解析
- インフルエンザウイルス感染に対する宿主免疫応答の解析
- インフルエンザワクチン開発のための基盤研究
- インフルエンザウイルスおよびHTLV-1の増殖機構の解析
(1)については、特殊な遺伝子改変マウスを用いることで、HTLV-1関連脊髄症(HAM)モデルマウスの作製に世界で初めて成功した(論文投稿準備中)。 現在、その病態機序の解明と新規治療標的分子に対するモノクローナル抗体の作製、樹状細胞・制御性T細胞を用いた免疫療法の開発を行っている (齊藤・後川・内藤・瀬島)。(2)については、特殊なファージミドを用いてアンチセンスRNAで細菌の生育を阻害する方法により、多剤耐性菌に対する 治療法の開発を行っているが、すでにその有用性を示す基礎データを得ている(川野)。(3)については、岡山県内に数多く生息するマンソン裂頭条虫の 3倍体成虫が単為生殖することに着目し、実験室内でその複雑なライフサイクルを完成させ、遺伝的に均一なクローン条虫株を樹立することに世界で 初めて成功し、論文報告した(Parasitol Int. 2017)(沖野)。(4)については、インフルエンザウイルスが宿主細胞に効率よく感染するために、 組織あるいは細胞表面を二次元的に動きまわるという、これまでに報告のない現象を見出して詳細に解析し、論文報告した(Scientific Reports. 2017) (堺)。(5)については、インフルエンザウイルス感染マウスの脾臓細胞中に、中和抗体の効果がない亜型が異なるウイルスに対して交差防御能を 付与する細胞群を同定した(後川)。(6)については、インフルエンザワクチンの効力に「はずれ」が生じない選定を可能にする、 「抗原性変異が入りにくい新規母体ウイルス株」の開発に成功し論文報告した(J Virol. 2017)(内藤)。また、将来流行が想定される 「未来流行株」をあらかじめ予測する方法の開発を、AMEDの「橋渡し研究加速ネットワークプログラム・シーズA(岡山大学拠点)」として進めている(内藤)。 (7)については、細胞内転写因子の活性を人為的に制御可能な「プロテオチューナー法」を用いた解析を進めている(内藤・齊藤)。
- 昨年度の自己点検・評価と課題
- 微生物学教室では、上述のように各教員が分野の異なったテーマについて独自の研究を行っており、相互のディスカッションにより全く視点の異なる考え方や意見・実験手法・解析方法をお互いの教育・研究に融通し取り入れることで「相乗効果」を発揮している。実際に、教育に対する学生の理解も進んでおり、昨年度以降は多くの研究成果を論文報告できていることから、その有用性が証明されつつあると考えている。
今年度の方策
(1) 学生教育について
学生に実施したアンケートでは、講義・実習の内容についておおむね適切であるとの回答を得ている。また、近年の感染症発生状況の変化に伴い、 講義内容のバランスを再考しつつある。昨年度からは、講義・実習を行いながら得られる学生の意見・感想をもとに、適宜教室内で議論を行う時間を設定している。 教育内容の改訂は適宜行っており、次年度以降の教育に反映させている。
(2) 研究について
引き続き、教室内での情報交換を積極的に行い実験・研究の効率を上げるとともに、学会発表・論文発表を通じて外部への成果発表を積極的に行うことで、 教室のアクティビティーをさらに高めていきたい。