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公衆衛生学教室

公衆衛生学教室

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 『医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。』と医師法で医師の任務を謳っている。このことから解るように、医師になろうとする者にとって公衆衛生学の知識は不可欠である。 臨床医学が診断と治療に軸足を置いているのに対して、公衆衛生学は予防に重点を置いている。臨床医学では患者個人を対象としているのに対して、公衆衛生学では病人のみならず、あらゆるレベルの健康状態をもった人々からなる集団を対象としている。そのため、教育に対するアプローチ方法は臨床医学とは著しく異なる。すなわち、公衆衛生学では医学の知識のほか統計学、社会学、さらには政治・経済など他の領域の知識、手法がしばしば用いられる。まさに学際科学と呼ぶにふさわしいものである。このため講義には学生が出来るだけ多くの知識を身につけた時期を選んでいる。公衆衛生学の教育では感染症の罹患率や生活習慣病の死亡率など種々の統計数値を記憶するが、数値の単なる記憶ではなく統計数値の経年的な変動を読み取る力を身につける必要がある。統計数値は過去から現在までの流れを示すので、その流れの中で予想した値から外れた値が出現した時に、「何かおかしい」と感じる感性が求められる。この感性を身につけることにより、臨床現場における疾病の早期発見が可能となり、その後の2次発生を予防することができる。この感性のことをPublic Health Mindと呼んでおり、このMindを身に付けることが公衆衛生学の教育目的である。
 学生教育に関しては、国家試験出題基準に記載されている「保健医療論」及び「予防と健康管理・増進」のうち、疫学、感染症、母子保健、学校保健、精神保健、高齢者保健など主に対人保健に関する内容と、医の倫理、医療の質と安全の確保、保健・医療・福祉の資源、医療法、社会保障、医療保険、健康・疾病・傷害の概念と社会環境、国際保健など主に医療行政や医療経済に関する内容を第4学年で講義する。一方、国家試験に向けて、第6学年2学期に「保健医療論」及び「予防と健康管理・増進」の全範囲を複数教室合同で集中的に講義する。さらに、第2学年2学期に開講している「医学研究への扉」での実習において、遺伝子多型と生活習慣との関連を検討する体質判定を実施する。

研究分野及び主要研究テーマ

 予防医学のうち、一次予防である疾病予防・健康増進を当教室における主要な研究テーマとしている。近年、骨は内分泌臓器と認識されつつあるので、骨と多臓器間ネットワークの関連を解析している。具体的には骨芽細胞にWntを導入し、発現したmiRNAの機能を解析している。さらに筋骨連関を解析している。これらにより骨量減少予防に寄与することができると考える。
 一方、これまでの一次予防では、禁煙や節酒、運動、栄養指導など必ずしも科学的といえない生活指導が中心であったが、遺伝子多型などの体質と生活習慣との関連を解明することにより重点的に生活指導する対象者を選別できる。このような分子疫学的手法を用いることにより一次予防をサイエンスのレベルに昇華できると考える。具体的には、ヒトを対象として、体型やストレスに関連するといわれる遺伝子多型と生活習慣との関連を研究している。又、2017年度から実施されたストレスチェックの結果を利用して、高ストレス者の背景因子を検討している。さらに、疫学データを用いて骨粗鬆症予防やロコモーティブシンドローム対策などの疾病対策を研究している。