教室紹介

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消化器外科学教室Digestive Surgery

スタッフ紹介

教育重点及び概要

教育重点

 系統講義では、局所解剖や画像診断の読影を効率よく理解させ、単なる知識の詰め込みでなく、問題指向型の講義を行い、観察力・分析力を養わせる。ポリクリ・クリクラ・初期研修といった一連の臨床修練では、的確な情報の収集力と解析力、問題解決能力を養成するとともに、日常診療に不可欠なチーム医療を体感、実践させ、同時に患者や他の医師、コメディカルとの協調性やコミュニケーションスキルを習得させる。

概要

1)系統講義

 教授、准教授が中心となり、上部・下部消化管外科、肝胆膵外科、一般外科の講義を担当している。6年生に対しては夏に国家試験対策の講義も行っている。

2)臨床実習・修練

 指導医、担当医とチームを組み、医学教育モデル・コア・カリキュラムを中心に病態、手術を前提とした画像所見の読み方、術式を決定していく外科医の思考過程を理解し、全身及び局所の諸変化のみならず、心の動きも含めた周術期での患者観察に基づいた“外科医らしい”プレゼンテーションの訓練をする。

研究分野及び主要研究テーマ

基本方針

 外科医にしか発想し得ない、更に“わくわく感”が体感できるような研究課題を見出し、幅広い視野と自由な発想で真理を探究し、他の研究者とも活発に交流でき、倫理観が高く、国際感覚に溢れたアカデミックサージョンを育成し、世界に問うことのできる質の高い研究を一つでも多く発表する。

主要研究テーマ

1)消化管再生医療に関する研究

 生体吸収性再生誘導素材である小腸粘膜下組織(small intestinal submucosa: SIS)を用いた消化管再生医療に関するトランスレーショナルリサーチを行っている。再生医療では適切な“細胞”“足場(マトリクス)”“成長因子”の適切な選択が鍵であるが、我々は“成長因子を含んだ足場”としてのブタSISに着目し、現在は、新規に着想した短腸症候群患者に対する再生医療を導入した外科治療についての研究に取り組んでいる。

2)インスリン抵抗性と発がんのメカニズムの解明

 疫学的SNP解析よりp53と糖尿病、肥満などの生活習慣病との関連性が明らかにされている。また大規模疫学調査よりインスリン抵抗性と発がんとの関係性が着目され、p53がkey regulatorとして細胞内代謝調節に大きく関与していることが明らかになってきた。p53下流のTIGAR(TP53-induced glycolysis and apoptosis regulator)はペントースリン酸経路を活性化して癌細胞の代謝性要求に応える形でWarburg効果に関わっている。我々はインスリン抵抗性宿主における発がん経路でのTIGARの役割を検証すべくマウスモデルを用いて解析中である。

3)手術の侵襲と癌の進展に関する機構の解明

 手術侵襲は、術後の臓器機能に障害を及ぼすのみならず腫瘍の転移・増殖を促進する。我々はこの現象をsurgical oncotaxisとして報告してきた。Surgical oncotaxisには、侵襲によるサイトカイン・ストームと白血球の活性酸素産生能が関与しているが、この一連のカスケードにはNF-κBが制御していると考えられている。現在、NF-κBをマーカーにしてsurgical oncotaxisの予測、予防、制御の可能性を検討している。またω3脂肪酸の術前投与によるがん転移抑制効果(Neoadjuvant Nutrition Therapy:NANT)についても検討を加えている。