スタッフ紹介
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教授中野 和久Kazuhisa Nakano
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講師藤田 俊一Shunichi Fujita
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講師浅野 澄恵Sumie Asano
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臨床助教小出 侑佳Yuka Koide
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臨床助教池田 政勝Masakatsu Ikeda
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臨床助教山田 雅智Masatomo Yamada
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臨床助教水田 耀You Mizuta
教育重点及び概要
当教室では、自己免疫疾患や自己炎症性疾患について、病因・病態から診断・治療法に至るまで、最新知識の修得を教育目標としている。リウマチ学や臨床免疫学の理解は勿論のこと、全身を診ることができる総合的な診療能力、様々な免疫抑制薬・免疫調整薬の使用法全般を学ぶ。
1)関節リウマチ
関節リウマチの治療では、サイトカインや細胞表面蛋白など特定分子を標的とした分子標的薬が中心的役割を果たしており、その診療を通じて、臨床免疫学を理解する。同時に、関節リウマチは代表的な運動器疾患であることから、関節・運動器の基本的診察法も学習可能である。
2)その他の膠原病
膠原病(自己免疫疾患)や自己炎症性疾患が疑われるのはどういった症状かを学び、検査異常を理解する。治療の基本であるステロイド薬や免疫抑制薬の効果と副作用を理解し、個々の症例での適切な使用方法を学習する。
3)臨床実習
臨床実習はクリニカルクラークシップで行う。外来・病棟研修においては、膠原病の診察法や鑑別診断のアプローチは勿論のこと、良好なコミュニケーションを築く医療面接法も学習する。
研究分野及び主要研究テーマ
当教室では、リウマチ性疾患・膠原病の診療現場で生じた疑問・課題から研究テーマを設定し、臨床への還元に資するような基礎的な検討を行うことを基本方針としている。具体的には以下のテーマに取り組んでいる。
1)自己炎症性疾患の炎症誘導・遷延機序の解明
原因不明の周期的発熱を繰り返す病態として、近年「自己炎症性疾患」という病気の概念が提唱された。疾患に関わる遺伝子異常が同定されてはいるものの、その遺伝子変異が炎症を引き起こす機序についてはまだ十分に分かっていない。教室では、自己炎症性疾患でみられる遺伝子変異を組み込んだ細胞・動物モデルを用い、その炎症誘導・遷延化機序を解析している。
2)全身性エリテマトーデス(SLE)モデルマウスにおけるアダプター蛋白SH3BP2の役割の解明
SH3BP2は免疫担当細胞に広く発現し、細胞内シグナル伝達の調節にも関与している。教室ではダブルミュータントマウスを作製し、SLEによる自己抗体の産生、病態形成におけるSH3BP2の役割を解析し、この分子をターゲットとした自己免疫疾患の治療法の可能性を探究している。
3)炎症性骨破壊におけるアンジオテンシンIIの役割の解明
アンジオテンシンIIは生体の血圧や細胞外液量の調節に関わるのみならず、骨代謝へも作用している。関節リウマチを代表とする全身性炎症に伴う骨破壊あるいは骨量減少に与えるアンジオテンシンIIの役割は明らかでなく、教室独自にダブルミュータントマウスあるいはトリプルミュータントマウスを作製し、マイクロCTによる画像的解析および分子レベルでの解析を行っている。
4)破骨細胞分化・骨代謝におけるタンキレースの役割の解明
タンキレースは蛋白の翻訳後修飾であるポリ(ADP-リボシル)化に関与する酵素蛋白であり、その阻害剤は癌治療領域でも注目されている。タンキレースは破骨細胞分化に関与している可能性が近年報告されており、教室ではタンキレース阻害剤の骨代謝に与える影響をin vitroおよびin vivoにて解析している。
5)マイオスタチン変異マウスの骨・筋解析
マイオスタチンは筋量を調整するサイトカインであり、その機能低下は筋量を著明に増大させる。最近、マイオスタチンが破骨細胞に直接作用し、骨量も調整することが報告された。ダブルミュータントマウスを独自に作製し、マイオスタチンが炎症性の骨破壊や筋量低下に及ぼす影響を解析し、新たな治療薬の創出に取り組んでいる。
学外共同研究について
米国インディアナ大学(Indiana Center for Musculoskeletal Health)、米国ミシガン大学(リウマチ科)、県立広島大学(生命環境学部)、岡山大学(CKD・CVD地域連携包括医療学講座)、京都大学(発達小児科学)、広島大学(分子遺伝学)、九州大学病院別府病院(内科)と共同研究を行っている。