教室紹介

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総合内科学4教室

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 学部教育及び卒後教育が行われている多くの施設では、内科学が専門別あるいは臓器別に診療されることが多く、実践的な内科学を系統的に学ぶ機会が乏しいとされています。総合医療センターは大学附属病院としての規模はやや小さいですが、私たちの教室では総合内科専門医、かつ呼吸器(3名)・腫瘍(2名)・血液(2名)・緩和(2名)・消化器(1名)の専門医が包括的な教育を担当しています。当教室は2011年4月に設立され、とくに悪性腫瘍に対して、総合内科医として全人的医療を行うとともに、がん薬物療法の専門家として診断と治療を行ってきました。2016年12月には緩和ケア病棟が新設され、2017年4月からは血液分野の准教授を迎え守備範囲も広がっています。直面する臨床の疑問点を基礎研究で解決し、基礎研究の成果を臨床研究へ反映することを、私たちの使命と考えています。

自己評価と反省
 昨年の当院では1年目の初期研修医が12人で、11人が当科をローテイトしています。いずれも1~2ヶ月と短期間ではありますが、scientistとしての考え方を身につけてもらっています。例えば、初期研修医には学会での症例発表を推奨しています。2018年度は、第57回日本肺癌学会中国・四国支部会において「ニボルマブ投与中の肺癌盲腸転移により生じた腸重積症」(優秀演題賞)、第118回日本内科学会中国地方会において「寒冷凝集素症を合併した悪性リンパ腫の1例」、第60回日本呼吸器学会中国・四国地方会において「間質性肺炎合併ANCA関連血管炎に生じた肺胞出血」、第27回日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会において「ニューモシスチス肺炎と薬剤性肺炎の鑑別が困難であった1例」を発表してもらいました。このように、physician scientistとして歩める機会を与えられたことを嬉しく思っています。
 大学病院としての指導医の充実、教育に対する意識の高さという側面と、市中病院としてのスタッフ同士の顔が見える関係、多数の症例経験ができるという側面の両者が評価され、卒後臨床研修評価機構(JCEP)から認定されていますが、より良い教育・臨床研修施設となるために更に教育環境を整備していきたいと思います。当科では、通常は医学生が2~4人(6年生のクリクラと重なるときは6人)、初期研修医が1~3人と年々増加していますが、人数が増えても皆が積極的に学んでいかなければなりません。呼吸器・腫瘍部門に加え、血液・緩和部門の教育と研修をさらに充実すべく、総合内科学の基本的な枠組みの中で、各分野を実践できるような体制を確立していきます。

研究分野及び主要研究テーマ

臨床研究

 昨年度の臨床研究として原著論文は、「化学療法施行中のオピオイド使用による便秘に対するルビプロストンの有用性」、「Drug-induced interstitial lung disease in the treatment of malignant lymphoma as a potential diagnostic marker」、「A phase I trial of afatinib and bevacizumab in chemo-naïve patients with advanced non-small-cell lung cancer harboring EGFR mutations」「A phase II trial of EGFR-TKI readministration with afatinib in advanced non-small-cell lung cancer harboring a sensitive non-T790M EGFR mutation」、「Publication of lung cancer clinical trials in the Japanese Clinical Trial Registry」、「Patients with osteosarcoma and soft tissue sarcoma might become "cancer refugees" in some Japanese regional cities」、「Second primary cancer in survivors of locally advanced non-small cell lung cancer treated with concurrent chemoradiation followed by surgery」、「Needle wash solution cultures following EBUS-TBNA with or without endobronchial intubation」などです。学内及び学外との共同研究を通して、この領域の更なる発展を目指しています。

基礎研究

 過去1年間では、1)肺癌細胞株を使用したEGFR、ALKシグナルの解析、2)悪性中皮腫における細胞シグナル伝達と免疫機構の解析、3)小細胞肺癌における免疫checkpointに関する研究を中心に行ってきました。それらの成果としての原著論文は「Effects of (-)-epigallocatechin-3-gallate on EGFR- or fusion gene-driven lung cancer cells」と「Development of an integrated CRISPRi targeting Np63 for treatment of squamous cell carcinoma」です。文部科学省研究費として「非小細胞肺癌におけるトポイソメラーゼI阻害剤併用によるヌクレオチド逆転写酵素阻害剤のドラッグリポジショニングの可能性(代表)」、「EGFR-TKI耐性肺癌における特異的シグナルの同定と克服(代表)」、「鉄代謝経路の解析によるがん性悪液質新規治療法確立のための研究(代表)」を獲得しており、それらの研究を進めています。

自己評価と反省
 共同研究を含めた研究では、学会発表及び論文発表も順調に行うことができました。旧川崎病院で可能な基礎研究はin vitroだけでしたが、総合医療センターの研究ユニットでは動物実験も可能な施設となりましたので、in vivo実験もすすめていきたいと思います。 大学院研究の指導として、原著論文あるいは総説を教材に抄読会を週1回行い、そのテーマの内容の議論と批判ができるようにします。呼吸器・腫瘍・緩和・血液領域においてバランスのとれた基礎研究を行い、科学研究費助成事業およびプロジェクト研究の結果を残していきます。最終学年を迎える大学院生には、これまでの研究内容をまとめて論文投稿を行います。