教室紹介

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放射線核医学教室Radiology, Division of Nuclear Medicine

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 近年、画像診断法の進歩は著しく、疾患の診断、病態の把握、治療効果の判定に威力を発揮している。特に核医学診断は、他の画像診断法が主に形態の変化をみるのに対して、細胞、組織、臓器の機能や血流・代謝を画像として知ることができるユニークな診断法である。さらに、定量化や負荷試験が可能であり、生体内で生じている生化学的過程や生理学的状態を描出できる特徴をもっている。したがって、核医学検査では疾患の早期発見や予防、予後の判定に重要な情報が得られやすく、予防医学や治療学への応用が期待されている。また、放射性同位元素(RI)は一部の良性疾患や悪性腫瘍に対する治療にも応用されており、放射性同位元素を含む治療薬を人体に投与することによって良好な治療効果が得られている。
 教育では、RIを使った検査と治療の学習とともに、医師としてRIの安全取扱や人体に対する影響などを理解することの必要性についても触れる。核医学検査では、各種検査法の原理と特徴を理解させるとともに、実際に得られる核医学画像を供覧し、生体内で生じている現象を推測し思考させることに重点を置く。
 臨床実習では核医学診療の現場に触れるとともに、多くのシンチグラムやPET画像を読影させ、診断だけでなく予後、治療や病因の解析という一連の思考過程を体得させる。
 全国の医科大学や医学部のうち、核医学教室を設置するものは多くない。本学では創設以来、核医学教室が設置されており、核医学専任の教員や診療放射線技師が学生教育、研究や診療に従事している。そのため、学生教育についてはきめ細かいカリキュラムの編成が可能で、臨床医学と密接に関連した講義や実習が核医学専門医により行われている。

研究分野及び主要研究テーマ

1)老化骨科学

 加齢に伴う骨量の減少は骨粗鬆症の発症に大いに関与している。したがって、この骨量減少の解明は骨粗鬆症に基づく骨折の予防に寄与する。当教室はRIを使った非侵襲的な骨量測定法の開発を国内で最初に手掛け、その後、X線を利用した方法に発展した後も、研究を発展的に継続している。現在は、健常者、骨粗鬆症患者及びモデル動物の骨量を測定するとともに、骨構造の変化を評価し、骨粗鬆症の早期発見、診断、治療に寄与するような検査法の開発を目指して研究を進めている。

2)分子病態イメージング研究

 分子プローブを用いて悪性腫瘍、循環器、骨関節などの様々な疾患の病態評価法を開発・確立し、臨床における有用性の検証を目指す。平成24年度の後半より分子イメージング研究の専門家を新たに加え、悪性腫瘍や循環器の遺伝子治療や再生医療など幅広い領域で研究の実施に向けての基盤作りを開始している。平成30年度末には中央研究センターに最新の動物用SPECT/CT装置が設置されることが決定した。

3)予防核医学

 疾患の発症には、形態的変化が生じる以前に、血流や代謝の変化が生じていると予想される。血流や代謝状態を視覚化できる核医学検査の特徴を利用して、疾患の早期発見や予防への応用を試みる。

4)総合画像診断

 血流や代謝を表す核医学画像とCTやMRIなどの形態画像を融合させた総合画像診断の体系化に向けて、基礎的及び臨床的検討を進める。