教室紹介

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生理学2教室Physiology 2

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 基礎医学に分類される生理学は、生体機能とそのメカニズムを解明する学問である。生理学を学習する上で、身体の構造を理解しておく必要がある。本学では、横断型授業の一環として解剖学と生理学を融合させた授業科目「人体の構造と機能」を1年次に臓器別で講義を行う。
 2年次では1年次に学習した知識を基にして、恒常性維持のための身体の動的な変化を細胞間や臓器間の連携を中心に講義が行われる。当教室は神経生理、感覚生理、細胞生理をまとめた授業科目「生体内情報伝達」を担当する。私達の身体は膨大な外界の情報を感覚として入力し中枢神経で処理されて、最終的に行動や身体内部の環境変化として出力される。この入出力において情報がどのように伝達・処理されるのか分子・細胞レベルから個体レベルにわたって授業を展開していく。
 2年次に開講している実習科目「機能系統合実習」では、神経及び筋肉の生理機能に関する項目を当教室が担当する。講義で学んだことを実習によって理解を深めてもらうことを期待している。さらに実習レポートの作成技術についても習得も目指す。
 授業は、基本的に各テーマに関して1回完結型で行う。一部の授業で、簡易アクティブ・ラーニングを取り入れている。その方法であるが、授業資料は問題形式になっており、それに回答し予習を行う。授業で答え合わせと共に理解を深め、さらに復習で各自発展学習を行う形式となる。効率の良い学習法を身に着けていただきたい。

研究分野及び主要研究テーマ

 当教室では、「神経系疾患における病態生理の解明及びその治療法の開発」を大テーマとして臨床に還元できる研究を目標に日々励んでいる。現在、以下に記載した研究プロジェクトが進行中である。

1)運動療法による脳機能回復の分子機構の解明

 脳梗塞や脊髄損傷モデル動物に対して筋活動を伴う運動負荷を与えることにより、その後の運動および認知機能回復に至るメカニズムを、主に筋由来の因子群(マイオカイン)の作用機序に着目して解析する。

2)神経系疾患における神経細胞死の機構解明とその治療法の開発

 脳虚血、脳出血、外傷性脳損傷、脳浮腫、脊髄損傷、パーキンソン病、てんかんなどの様々な疾患モデル動物を作製し、神経細胞傷害及びその後の再生機構について、組織レベルあるいは分子生物学的手法を用いて検討している。さらにこれらの神経疾患に対して、新しい治療法の可能性についても検討を行っている。

3)うつ病に対する電気けいれん療法の作用機構の解明

 電気けいれん療法の作用機構解明のために、うつ病モデル動物を作製して電気刺激によるけいれんを与えた後の脳内の組織学的および生化学的変化を調べている。特に細胞内情報伝達系の一つであるCa2+に焦点を当てて、その動態および受容体やチャネルなどCa2+関連たんぱく質の変化について検討している。

4)脳浮腫の遺伝子解析と新しい治療法の開発

 現在、脳浮腫の治療法は、保存的には高浸透利尿薬、外科的には開頭減圧術が行われるが、様々な脳疾患に二次的に発生する脳浮腫に対して、遺伝子レベルで解析を行う。特に血液中を循環しているmicro RNAに関しても解析を進め、病態生理の解明や治療法に結びつくか検討している。

5)簡易アクティブ・ラーニングの基礎医学教育への導入

 当教室では、基礎医学教室として効率の良い医学教育に関しても研究を行っている。