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国際リンパ・美容再建外科学〈寄附講座〉

国際リンパ・美容再建外科学〈寄附講座〉

スタッフ紹介

光嶋勲特任教授は、穿通枝皮弁(perforator flap)および超微小外科(supermicrosurgery)の創始者として世界的に知られる再建外科医です。1990年代に川崎医科大学在職中にこれらの基盤技術を確立し、リンパ管静脈吻合術をはじめとする革新的な術式を世界に先駆けて開発しました。東京大学名誉教授であり、世界再建微小外科学会(WSRM)理事長・会長、国際リンパ外科学会理事長などを歴任した、この分野の第一人者です。

略歴

  • 1976年 鳥取大学医学部 卒業
  • 1981年 東京大学医学部 助手(形成外科学講座)
  • 1983年 筑波大学臨床医学系 講師(形成外科)
  • 1985年 医学博士(東京大学)/「血管柄付神経移植」の研究
  • 1990年 川崎医科大学 助教授(形成外科学講座)
  • 1996年 米国ハーバード大学(ボストン)留学
  • 2000年 岡山大学医学部附属病院 教授(形成外科)/2001年 大学院教授(形成再建外科)
  • 2004年 東京大学大学院医学系研究科 教授(形成外科)
  • 2008–11年 東京大学医学部附属病院 副院長
  • 2009–10年 シンガポール国立大学 シニア・コンサルタント(教授)
  • 2012年– バルセロナ大学 客員教授
  • 2017年 広島大学病院 国際リンパ浮腫治療センター長・特任教授/東京大学 名誉教授
  • 2017–19年 世界再建微小外科学会(WSRM)理事長
  • 2021年 広島大学 形成外科科長・国際リンパ浮腫治療センター 寄附講座教授
  • 2025年- ヒロシマ平松病院 光嶋勲・国際リンパ浮腫治療センター
  • 現在 川崎医科大学総合医療センター 寄附講座 国際リンパ・美容再建外科学講座 特任教授

専門と診療の特色

専門領域は、リンパ外科、超微小外科、穿通枝皮弁による乳房・頭頚部・手足の再建外科、顔面や末梢神経麻痺の再建、疼痛外科、美容再建です。とりわけリンパ浮腫に対するリンパ管静脈吻合術(LVA)は、光嶋教授が超微小外科技術によって1990年以後実用化した術式であり、身体への負担が少ない低侵襲治療として世界中に普及しています。

川崎医科大学時代に発見した「リンパ管平滑筋の変性像」(電子顕微鏡研究)は、リンパ管バイパス手術の理論的基盤となり認知症手術にも応用されはじめています。筑波大時代に開発した穿通枝皮弁移植は20年にわたる海外でのライブ手術によって世界中に広まり、現在の標準的な頭頸部や乳房・四肢再建術となりました。また1980年代に東大で開発した血管柄付き神経移植は難治性神経麻痺・疼痛に応用されています。こうした基礎研究に裏打ちされた診療により、他施設では対応困難な乳房・顔面・手足の変形、外傷後の顔面・四肢神経麻痺/疼痛、先天異常・術後変形欠損例、陰部性機能障害、美容手術後のクレームに対しても、整容と機能を両立させた治療を提供します。近年は0.1mmの吻合をさらに微細な領域へと高める次世代技術の開発、海外顕微鏡メーカー・国内針糸メーカーとの連携にも取り組んでいます。

主な業績

臨床実績・研究業績(概数)

  • 微小血管吻合手術 約4,000症例
  • リンパ浮腫手術 約3,000症例(1990–2025年、近年 年間約200例)
  • 超微小外科手術 年間約200例
  • 英語論文 共著を含め約400編
  • 学会誌査読 米国形成再建外科学会誌ほか(査読論文 約130編)
  • 海外招待講演 約500回(年間10〜20回)
  • 海外招聘ライブ手術 22カ国32施設(1997年〜)
  • 海外医師の研修受入 累計 約550名以上(年間約30名)

主な受賞・栄誉講演

米国微小外科学会 第10回バンキ記念講演(2014年)、米国形成外科学会 Maliniac記念講演(2014年)、国際マイクロサージャリー学会 Fu Chan Wei講演(メキシコ、2022年)など、各分野の学会創始者を冠する記念講演に招かれています。

講座の理念

国際リンパ・美容再建外科学講座は、リンパ外科・神経・超微小血管外科(スーパーマイクロサージャリー)を基盤に、これまで治療困難とされてきたリンパ浮腫、神経麻痺、外傷後疼痛、顔面身体の難治性の変形・欠損に対する再建・機能回復・整容の向上を追求する講座です。基礎研究と臨床を融合させて新しい術式を生み出し、それを世界に発信・普及させるとともに、次世代の外科医を育成することを使命としています。

当講座が扱う超微小外科は、直径0.3〜0.8mmという極細のリンパ管や血管・神経を吻合する高度な技術であり、乳がん・婦人科がん術後などのリンパ浮腫治療、遊離皮弁・穿通枝皮弁による再建、末梢神経再建、そして整容を重視した美容再建へと応用が広がっています。難治疾患の根治と患者さんのQOL向上を両立させ、日本発の技術を国際標準へと育てることを目指します。

教育と国際連携

当講座は、若手外科医の育成と国際的な技術普及を重視します。光嶋教授はこれまで国内外で1,000名を超える医師を指導し、研修を受けた海外医師の多くが帰国後に自国でリンパ浮腫センターを設立しています。国際穿通枝皮弁講習会・世界リンパ外科講習会・国際超微小外科講習会の設立者・理事長として、ライブ手術や屍体解剖コースを通じた実践的な教育を長年主導してきました。

川崎医科大学総合医療センターにおいても、AIを用いたこれまでの膨大な臨床データの解析、解剖学・免疫学・神経筋・リンパ系・脳神経の基礎研究や他分野の知識技術の導入を進めます。オンライン講演・遠隔診療・国際コンソーシアムを活用し、教育と診療のネットワークを国内外へ広げていきます。

今後の展望

リンパ外科の技術は、手足のリンパ浮腫治療にとどまらず、アルツハイマー病・メニエール病・緑内障など脳神経疾患への応用(ニューロ・リンパサージェリー)が期待される新しい医療領域です。当講座は、日本がこの分野で世界をリードすることを目標に、超微小外科のさらなる高度化と適応拡大に挑みます。

大学病院という環境を最大限に活かし、研究・教育・国際医療支援を一体で推進することで、難治疾患に苦しむ世界中の患者さんに最先端の医療を届け、次世代の医療を担う人材を育ててまいります。皆さまのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。