血管外科

特徴
血管外科について
血管外科 とは!
皆さん、血管外科という科をご存知でしょうか。
心臓血管外科の付録ではありません。まだまだ認知度が低い科です。
人工心肺を用いて治療する胸部大動脈瘤・大動脈解離の人工血管置換術を除く、血管疾患全てを取り扱う血管疾患に特化したプロフェッショナルな科です。すなわち、胸部大動脈瘤・大動脈解離(ステントグラフト症例のみ対応)、腹部大動脈瘤、腹部内臓動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、透析シャント作製、透析シャントトラブル(シャント瘤、出血、狭窄、閉塞)などが対象疾患です。高齢化社会においては、重要な位置を占める科と確信しております。血管の病気を疑われたらまずはご相談戴ければ幸いです。
血管外科の最近のトレンドは「治療の低侵襲化」です。
以下のように代表的疾患の治療は低侵襲化へシフトしており、患者様の負担は軽減しております。
- 大動脈瘤・大動脈解離:人工血管置換術→ステントグラフト内挿術
- 末梢動脈閉塞疾患:バイパス手術→血管内治療
- 下肢静脈瘤:ストリッピング術→レーザー焼灼術・グルー注入
- 下肢深部静脈血栓症:血栓除去・ヘパリン点滴→DOAC
当科では、2021年から以下の低侵襲法を導入し、患者様には好評です。
- 腹部大動脈瘤のステントグラフト内挿術において穿刺下法を導入
従来の鼠径部切開法をPerclose ProGlideを用いた穿刺のみでアプローチ。
切らずに治療を遂行する。 - 下肢静脈瘤に静脈内から糊付けするVenaSealクロージャーシステムを導入
- 人工血管シャント吻合部の難治性狭窄にバイアバーン(小口径ステントグラフト)導入
- 閉塞性動脈硬化症の重症虚血症例で血行再建適応外や不成功例における最後の補助療法として、コラテジェンやレオカーナーを導入。
とはいえ、従来の外科治療(人工血管置換術、バイパス術)も重要な治療でありますので、適宜適応を遵して施行しております。
コラテジェン
(遺伝子治療用製品)
| 薬価 | 600,360円 |
|---|
1カ所あたり本品0.5mgを8カ所に4週間間隔で2回筋肉内投与(1回総計4mg)
症状が残存する場合は、2回目投与の4週後に3回目の投与も可能

レオカーナ
| 償還価格 | 91,600円(回路は別に算定できない) |
|---|
実施回数は、原則として一連につき 3月間に限って24回を限度として算定する。
ASOの発症にかかわる病因物質LDL-Cやフィブリノーゲンを取り除くこと。重症化し、他に治療方法のないASOに対する新たな治療方法
適応:
- フォンテイン分類Ⅳ度の症状を呈する者
- 膝下動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有し、外科的治療又は血管内治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者
下肢の切断につながるような重度の潰瘍の治癒率を評価した治験において、治療開始から24週以内に45.9%の患者の潰瘍が治癒した。
吸着型血液浄化器(製品名:レオカーナ)
取得可能な資格
- 日本外科学会外科専門医
- 心臓血管外科専門医
- 脈管専門医
- 血管内治療認定医
- 腹部/胸部大動脈瘤ステントグラフト実施医・指導医
- 浅大動脈ステントグラフト実施医
- 下肢静脈瘤レーザー焼灼術実施医・指導医
- フットケア・足病治療認定師
- フットケア指導士
- VAIVT認定専門医
- VAIVT血管内治療医
大動脈瘤の治療
大動脈瘤の外科治療は、胸部で血管径6cm以上、腹部で血管径5cm以上が一般的ですが、6か月で5mm以上の拡大している急速拡大症例や瘤形状が嚢状であるものは、破裂する可能性が高く、瘤径が小さくても手術適応となります。
胸部では、上行・弓部においては、心臓外科で人工血管置換術が標準手術ですが、最近では、ステントグラフトのデバイス・手技の進歩でかなりの症例もステントグラフトを施行させるようになってきた。
腹部では、年齢と大動脈の解剖学的性状にて人工血管置換術とステントグラフトを使い分けています。70歳以下でリスクのない患者さんでは、原則人工血管置換術を、それ以外は、ステントグラフトを第1選択としている。


閉塞性動脈硬化症の治療と成績
糖尿病、禁煙、高血圧症、脂質異常症などが代表的なリスクファクターです。

このような症状は、下肢閉塞性動脈硬化症でよく認められます。
本疾患の臨床症状を基にしたFontaine分類があり、以下の通りです。
Ⅰ期:無症状(冷感、しびれ)
Ⅱ期:間歇性跛行(少し歩くと下肢痛を認め、休むと痛みが消失する)
Ⅲ期:安静時疼痛
Ⅳ期:潰瘍・壊死・壊疽。 (Ⅲ期、Ⅳ期を合わせて重症虚血肢といいます)
重症虚血肢を放置することで、感染を併発し大切断に移行致します。
この病気分類で、治療方針が決まっております。
Ⅰ期は薬物・運動療法、
Ⅱ期は3~6か月運動・薬物療法、効果なければ血行再建(血管内治療・バイパス手術)、
Ⅲ・Ⅳ期を合わせた重症虚血肢では、血行再建(血管内治療・バイパス手術)の適応となります。
血行再建には、血管内治療(EVT:バルーン拡張術、ステント留置、ステントグラフト留置)とバイパス術があります。病変部位で治療法選択は異なります。腸骨動脈領域ではステント留置、大腿・膝窩動脈領域では、病変長、石灰化の程度、血管径などより血管内治療とバイパス手術を選択しています。下腿病変病変では、患者さんの全身状態や病変部位・性状、自家静脈(自分の大伏在・小伏在静脈)の血管径と長さなどよりバイパス手術と血管内治療を選択しています。
当院の治療成績
| 治療 | 5年1次開存率 |
|---|---|
| 腸骨動脈病変のEVT | 96% |
| 大腿・膝窩動脈病変のEVT | 71% |
| 大腿・膝窩動脈病変のバイパス術 | 86% |
本疾患は、全身動脈硬化性疾患の窓口と言われ、本疾患を発見することは、脳梗塞、心筋梗塞を発見する重要な手がかりとなることがあり、術前の脳MRIと冠動脈CT・心臓超音波検査は必須です。
本疾患のリスクファクターとしては、糖尿病、透析患者、喫煙が特に重要です。
診療体制
| 曜日 | 時間帯 | 医師 |
|---|---|---|
| 火曜日 | 午前 | 石田副部長 |
| 火曜日 | 午後 | 森田部長 |
| 水曜日 | 午前・午後 | 石田副部長 |
| 木曜日 | 午前・午後 | 磯田副医長 |
| 土曜日 | 午前 |
森田部長 |
重症虚血肢から足、歩行を守る / 創傷治療センター
重症虚血肢の治療は、放置すると大切断に繋がり、大切断、すなわち下腿・大腿で切断になると25%が1年後に死亡に至る、生命予後の悪い病態です。足の血管だけでなく、脳や心臓、腎臓など全身の動脈硬化を併発しているためで、足だけでなく、全身精査のうえ同時に多科と連携し治療をしなければなりません。また早期からのリハビリ、食事指導のもとフレイユ、認知症予防なども多職種連携で施行していく必要があります。このような取り組みで、救肢率は改善してきましたが、より改善できるように当院で慢性創傷の治療を取り扱っている血管外科、形成外科、皮膚科で連携し、センター化し、令和3年10月より創傷治療センターを開設いたしました。
当院重症虚血肢
| 1年 | 3年 | |
|---|---|---|
| 救肢率 | 91.7% | 82.3% |
| 生存率 | 83.6% | 68.2% |


創傷治療センターが令和3年10月1日から開設されました。
設立意義
創傷治療とは、6ヶ月以上治らない“慢性創傷”を専門に診る治療のことです。創傷には、圧や摩擦・ずれなどによる床ずれ、糖尿病性足病変、閉塞性動脈硬化症による潰瘍・壊死、静脈うっ滞による難治性下腿潰瘍や術後の創、ケガや事故による創で治らないもの等、様々な原因があります。また近年において高齢化の進行や、食生活の変化による糖尿病の増加、生活習慣等による下肢血流障害を中心とするCLTI(Chronic Limb Threatening Ischemia:包括的高度慢性下肢虚血)は増加の一途を辿っております。そこで当院で治療を担う、血管外科、形成外科、皮膚科で各々で施行している治療を集約してセンター化する事で、もれなく最善の治療を提供できると考え、センター化いたしました。
スタッフ
血管外科、形成外科、皮膚科
(バックアップとして、糖尿内科、腎臓内科、循環器内科、整形外科)
フットケア関連看護師
WOCナース4人、特定看護師(創傷管理関連)4人、CVTナース3人、フットケア指導士8人
糖尿病看護認定看護師1人、糖尿病療養指導士2人
診療体制
外来1枠新患3名としております
| 曜日 | 時間帯 | 医師 |
|---|---|---|
| 月曜日 | 午前 | 形成外科 徳岡副医長 |
| 火曜日 | 午後 | 血管外科 森田部長 |
| 水曜日 | 午後 | 血管外科 石田副部長 |
| 木曜日 | 午前 | 血管外科 森田部長 |
| 金曜日 |
皮膚科 担当医 従来のフットケア外来をこの枠で踏襲いたします |
出来れば、血流障害は、森田・石田外来、血流障害以外の慢性創傷、褥瘡は徳岡外来、巻き爪、鶏眼・胼胝等のフットケアは皮膚科外来へ紹介して戴ければ幸いです。
尚緊急時の重症虚血肢に関しましては、血管外科 森田に連絡してください。
慢性創傷でお困りの患者に、そり沿い、1人でも多くの快適な生活を取り戻せるよう、スタッフ一同頑張りますので、ご指導、ご支援の程、宜しくお願い致します。
透析患者さんの命を繋ぐ:シャント作製・PTA
透析患者におけるシャントの重要性は言うに及ばないところであります。長期間使用して戴けるシャント作製、シャントトラブル(狭窄・閉塞・感染。出血・瘤など)のリカバリーを迅速で正確に対応し、特にシャントトラブルにおいては、ほぼ緊急対応しております。

フットケアで健康寿命の延長を!
重症虚血肢の治療は多科・多職種とのチーム医療で救肢率は向上しておりますが、生存率は救肢率に追いついておりません。早期発見・治療が重要です。そこで、最近注目度が浮上してきたのが、フットケアです。当院は岡山では最初に2007年よりフットケア外来を設立し、活動しております。創傷治療センター開設にあたり、従来の外科・皮膚科で施行しておりましたフットケア外来を金曜に集約して施行致します。フットケアも救肢から歩行、歩行から健康寿命延長へとトータルフットケアへ進化してきております。足のお悩みがありましたら、フットケア外来並びに創傷治療センターを受診下さい。
スタッフ紹介
特任教授
森田 一郎
特任准教授
石田 敦久
講師
磯田 竜太郎
シニアレジデント
山根 尚貴
シニアレジデント
立川 貴大
非常勤医師
松井 大輔
非常勤医師
間野 正之