川崎医科大学病理学2

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症例2 解説

【病理診断】Malignant phyllodes tumor (with liposarcomatous differentiation). 


【肉眼所見】充実性で、一部では境界不明瞭な結節性病変であった。


【組織所見】いわゆる葉状構造を示す上皮・間質増殖性病変であった。腫瘍の境界は不明瞭な部分がみられた。間質細胞の密度には粗密がある。間質細胞の異型は中等度〜一部では高度。著しくはないが、いわゆる間質細胞の一方的な増殖を思わせる所見も認めた。間質ではしばしば脂肪細胞への分化が明らかで、脂肪芽細胞も散見された。軟部腫瘍でのatypical lipomatous tumour / well differentiated liposarcomaに類似した像であった。


【考察】乳腺葉状腫瘍の間質成分は、平滑筋や脂肪あるいは骨・軟骨などへの分化を示すことがあることが知られている。葉状腫瘍の間質の一部が異型の乏しい脂肪への分化を示すものは、決して稀ではないが、脂肪肉腫様の像を示す腫瘍の報告もみられる。


【文献】@酒井康裕ほか。脂肪肉腫様成分を伴う乳腺葉状腫瘍の1例 診断病理 21:2, 115-118 APowell CM, Rosen PP. Adipose differentiation in cystosarcoma phyllodes. A study of 14 cases. Am J Surg Pathol. 1994;18(7):720-7.