第2回 FIM講習会in倉敷 / 質問と回答
FIM講習会質問

食事

質問

食事について時間がかかるとは何分程度ですか。

答え

具体的な決まりはないのですが、FIMでは時間がかかるとは普通の3倍以上と決められています。

質問

食事の準備に義歯の装着は入りますか。

答え

義歯の装着は[整容]の項目で評価され、食事の準備には含まれません。

質問

食事で時々むせて吸引が必要な場合はどうなるのでしょうか。

答え

吸引が必要な状況では食事はさせておらず、FIMをつける以前の問題です。

質問

食事について自分でとろみをつけるは6点、つけてもらうは5点、配膳の後に肉を切ってもらうは5点ですが、大刻み(2cm角)で提供している場合の点数は何点ですか。

答え

嚥下を助ける食事の提供(嚥下調整食)ととらえた場合は6点となります。しかし、配膳した後で小さく切った場合は5点です。

質問

食事について肉を切ってもらうは5点ですが、なぜ刻み食は6点なのでしょうか。

答え

配膳の後に介助をしているかどうかで異なるからです。刻み食は食事形態の工夫ととらえ、配膳後に介助はしておらず6点となります。

質問

食事について2点の『すくう、口に運ぶ介助』と1点の『食物を全く口に運べない』の説明の違いがわかりませんでした。具体例を教えてください。

答え

2点の『すくう、口に運ぶ介助』は患者さんが主体的に行っており、介助者は手を添える介助を行っている場合です。これに対して1点は、介助者患者さんに食べさせている全介助の場合です。

質問

半側空間無視や注意障害によって食事の際に食べ忘れがあり、食器の反転が介助にて必要な場合は、身体介助でないため準備の5点と判断すれば良いですか。

答え

途中での介助ですが、「食べ忘れ」を指摘して自分で食器の反転を行えば5点と判断します。反転を介助すれば4点です。

清潔

質問

頭髪を洗うのはなぜ最低限の動作に含まれないのですか。

答え

定義として決められているので含みません。FIMは定義にそって採点します。

質問

滑り止めマットの使用で安全性を配慮したということはわかりますが、それで清拭の点数が下がるのですか。滑り止めマットと清拭の関連がわかりませんでした。

答え

安全性への配慮として、マットを使うことで清拭が自己で行えるので修正自立と判断して6点となります。

質問

清拭について洗髪や背中のみ介助が必要な場合は7点と採点すればよいのですか。

答え

背中、洗髪は含まれないという定義がありますので、他が自立しているのであれば7点となります。

質問

入浴について、足指まで自分で洗えているが、汚れがあり不十分である場合本人は問題があると思っていないとすればどう考えますか。

答え

介助者の負担がないのであれば点数は下がりません。

排泄

質問

人口肛門(ストーマ)造設している場合、いっぱいになれば交換することはできるとします。排尿のみトイレでされた後、ストーマに手が不意にあたりパンツ等を汚すことがあります。汚したことに患者さんは気づいていません。この場合は何点でしょうか。

答え

汚したものを取り替える介護負担があるかないか、また、その頻度によって点数が異なります。この質問では自分で気付いていないで、他人にも指摘されないとすれば減点になりません。指摘され、自分で処理すれば5点になります。

質問

ポータブルトイレ移乗では補助具使用で6点となっていましたが、ポータブルトイレの場所をもっとベッドに近づける必要がある場合、準備の5点となりますか。

答え

ポータブルトイレを毎回準備するという介助が必要な場合は5点になります。

質問

排尿管理について5点の『尿器使用で尿を捨てに行ってもらう』というのは移動が含まれるのではないでしょうか。

答え

移動手段は問われません。自分で尿を捨てていれば介助者の負担はなく6点となりますが、この場合は介助が必要であるので5点となります。

質問

パット内に排尿があった際に自己で交換可能とすれば点数はどうなりますか。

答え

交換が自立しているのであれば介助者の負担はないと考えます。パットは補助具の使用と考え6点となります。

質問

排泄管理について術後にバルーンカテーテルを設置している人は何点ですか。

答え

留置カテーテルの挿入、集尿袋を空けて尿を捨てるなどの管理を自己で行っていなければ1点となります。

質問

排尿管理について尿道留置カテーテル挿入中の患者さんで、尿破棄のみ介助は5点でしょうか。

答え

管理の介助量に対して点数をつけます。尿破棄のみ介助であれば5点となります。

質問

トイレ(排尿)に行く際は介助者を呼んで行くが、パットへの失禁も毎日くらいある。シーツやズボンの汚染はない。パットの取替えは介助者が行う。この場合汚染なし、オムツ→6点、パット交換介助→2点から、低いほうの2点になりますか。

答え

オムツの使用は6点ですが、自分で管理できる場合です。パットの交換介助は、交換の依頼ができれば2点、依頼できなければ1点となりますので、訴えがあるかないかで判断し評価してください。

質問

排尿の失敗について、尿とりパット内に排尿があっても自分で取り替えているときは、失敗としないのですか。介助で取り替えているときは布団、衣服が汚れていなければ失敗といわないのでしょうか。

答え

パットの交換が自立していれば、補助具の使用のみで6点と考えます。布団、衣服への汚染がなく世話がかからなければ失敗にはなりません。介助している場合、取り替えの依頼ができれば2点、依頼ができなければ1点となります。

質問

リハビリパンツの着用はオムツと同様に補助具と考えるのですか。

答え

リハビリパンツの使用も補助具の使用と考えます。

質問

排便で座薬使用の場合や、服薬のみでは7点ですか。それとも補助具と考え、6点ですか。また常には使用せず時折(月に3回ほどの頻度)ではどうですか。

答え

座薬の使用は使用頻度基準を参考に点数をつけてください。内服薬は使用頻度に関わらず補助具と考え、6点となります。この場合、月に3回ほどの頻度であり自分で座薬を挿入できるのであれば6点、介助を要するのであれば5点となります。

質問

排便管理の例で、自分で排便動作の50~70%行うと3点になっていましたが、排便動作の50~70%とはどういう状態なのかがわかりませんでした。

答え

この例は、排便管理に関してと排便動作(=トイレ動作)との別項目が1つの例となってしまっており不適切な例だったと判断します。

質問

排泄管理について、トイレに行きたいと言って行くが、出ないということについてはどう考えるのですか。失敗ではないと考えてよいのか、コントロールできていないと考えるのですか。

答え

排泄管理では減点にはならず、他項目で減点となる可能性はあります。

質問

座薬ではなく、下剤やお茶などの毎日の服薬についてはどのように考えればよいか。便軟化剤として考えてよいのですか。

答え

プルーンやお茶などの自然食品を用いている場合は7点、下剤など医薬品は補助具とし6点となります。

質問

週2回来院している通所介護の利用者に関してですが、排泄の失敗の頻度は施設滞在時のみ考慮に入れるのですか。それとも自宅での失敗回数も含めるのですか。

答え

自宅と施設利用時とで合わせて失敗の回数を計算します。

質問

排便管理について浣腸と摘便を介助でされている場合は具体的にどう採点しますか。

答え

この場合、腹圧は自分でかけているとすれば介助量は2/3=60%と考え、定義から2点と採点します。

質問

排尿コントロールで薬剤使用の場合は修正自立なのでしょうか。何か具体的に採点内容はありますか。

答え

投薬によってコントロールが行われていれば補助具の使用として6点、失敗があれば頻度に従って採点してください。

質問

内服にて排便コントロールを行っている場合、点数はどうなるのでしょうか。毎食後にマグミットやカマグを内服しているときや、眠前にセンノサイドを内服しているときはどうなりますか。自己管理と配薬している時の違いはありますか。

答え

服薬の管理方法については認知項目の『問題解決』で採点をします。『排泄コントロール』では配薬の有無に関わらず、内服は補助具の使用とし、6となります。

質問

排泄管理にポータブルトイレの処理は入りますか。

答え

ポータブルトイレの処理には介助量がかかるため排泄物を捨ててもらった場合には減点されます。

質問

排泄コントロールの項目において、利尿剤や緩下剤などの服薬は採点対象にはならないのでしょうか。

答え

緩下剤は補助具の使用と考えて6点となりますが、利尿剤は排尿コントロールに関する薬剤ではない(利尿剤は腎臓の働きを助ける)ため減点対象ではありません。抗コリン剤(膀胱抗痙縮剤)を使用の場合は補助具の使用として6点となります。

移乗

質問

浴槽のふちを使う場合は、自立ですか?それとも修正自立ですか?

答え

浴槽のふちは補装具とはみなさないため、自立となります。

質問

しっかり引き上げる介助を要するが、方向転換はできる場合は何点ですか?

答え

しっかり引き上げる介助をした場合では、3点となります。

質問

起立は見守りで、方向転換にしっかり支える介助を要する場合は何点ですか?

答え

しっかり支える介助をした場合は、3点となります。

質問

手すりを使わず、杖を使用し、補装具を使用しない場合は何点ですか?

答え

自立しているのであれば、杖は補助具のため6点です。

質問

椅子を押さえてもらう必要があるのは「4点」とされていますが、患者に触れていないのに、なぜ「4点」になりますか?これは準備になりませんか?

答え

移乗項目で、4点は軽くふれる程度とあります。しかし、基本原則は患者さんが動作を行う上でどの程度介助者が介助するかによって決定されます。この場合は、触れていませんが、移乗している最中に椅子を押さえ、間接的に介助をしたことになります。また、「準備」とは、移乗の前に移乗できるようにするための準備であり、移乗している最中は介助していない状態です。

質問

(1点と2点の区別について)立ち上がり、方向転換に介助を要するが、1人介助で行えば全て2点と採点しますか?

答え

1人介助で行っていても、患者が25パーセント以下の参加であれば全介助とみなし1点とします

質問

起き上がりも評価対象とありますが、採点はどのようにしたら良いですか?

答え

例えば、起き上がりのみ不可で、移ることが自立している場合は3点となります。

質問

車椅子をつける位置や足を置く位置をテープで図示すれば自力で可能な場合は、何点になりますか?

答え

この場合、テープが安全性の配慮や補助具としての役割があるため、6点となります。また、常にテープを使用しているのであれば、6点となりますが、その都度、準備するのであれば5点となります。

質問

病院の環境上、移乗する際にベッド柵や手すりを使用する場合は6点となりますか?

答え

備え付けの手すりや柵を使用すれば6点となります。

質問

pick up walker使用して監視で100m程歩けるのですが、病院の都合で全ての移動は車いすで、かつ介助者が押している場合は1点ですか?

答え

FIMは「しているADL」で評価しますので、どんなに歩行ができていても、上記の場合は1点となります。病院の都合と理由で内容を変更することはできません。

質問

浴槽の移乗についてです。またぎと沈む・つかるはどちらを優先に考えますか?

答え

どちらを優先するかはありません。動作全体として、低い方の点数を採用します。

質問

体重の重さによって介助量が違う場合はどうしますか?

答え

特に問題としません。

質問

採点についてです。車椅子・歩行の両方を採点した場合、合計する時にはどちらを採用しますか?また、途中で変更になったり、車椅子が自立となり、歩行へ移行できた場合は、どのように採点しますか?

答え

講習会でもお話しましたが、車椅子・歩行の採点は、最終時の移動手段を予測して採点します。最終時が歩行であれば、開始時、経過中も歩行の採点を採用することをお勧めします。しかし、最終時点の移動手段を予測できない場合は、車椅子・歩行ともに両方の採点をすることをお勧めします。

質問

車椅子での移動についてです。病棟内の廊下にある手すりを使用して50m以上進んでいる場合は何点になりますか?

答え

手すりを使用して自己で往復可能であれば、修正自立の6点と採点します。復路を介助した場合は点数が下がります。

質問

移乗についてです。脊損などで下肢麻痺がある場合は2点と採点しますか?、それとも1点と採点しますか?患者さんが25%の方を考えたらよいのか?一人介助でも25%以下なら1点としてもよいのか?

答え

1人介助の場合、動作全体として25%以下の患者参加率であれば1点となります。

質問

椅子ごと浴槽に入ってお湯につかるタイプのチェアインバスを使用している場合についてです。洗う時に座る椅子から浴槽につかる為の椅子に移乗する方法は手すりにつかまって立ってもらうだけで椅子の入れ替えはすべて介助者が行います。このように浴槽をまたいだり、沈んだりせず、シャワー浴の椅子への移乗を手すりにつかまって立ってもらっているだけの場合、浴槽移乗の採点はどのように採点したらいいですか?

答え

この場合、浴槽移乗はチェアインバスを使用しているため、全介助になります。そのため、採点は全介助の1点となります。

質問

入浴の採点で、最終的に浴槽に入らない場合は、シャワーでの点数のみでつけると勉強しました。つまり、歩行・車椅子移動の考え方と同じで、最終的な環境での評価で点数を入院時と退院時で採点した方がいいですか?

答え

入浴の場合は、現在どうしているかだけを考えればいいです。歩行・車椅子のように、最終時の状態と比較して採点する必要はありません。

質問

「安全への配慮が必要」とは具体的にどのようなことでありますか?

答え

対象者に合わせてbedの高さを統一しておくや、浴室内に滑りとめマットを敷いておくなどがあります。

移動項目

質問

歩行時にふらつきやつまずきがあり、介助量が増える場合はどのように採点しますか?

答え

歩行距離のうち、どのくらいの距離を、どの程度の介助をしたかを考えることになります。例えば、50mのうちに、少しでも患者にふれた場合は4点となります。介助量がそれよりも多い場合はもちろん採点は低くなります。

質問

杖を使用して歩行しているのですが、立ち上がりに引き上げる介助を要する場合はどのように採点しますか?

答え

歩行項目には、立ち上がりの要素は含まれません。

質問

階段昇降の段の高さに目安はありますか?

答え

FIMでは規定されていません。

質問

15m歩行は自立していますが、50m歩行は重度介助で移動している場合は3点以上と採点しますか?

答え

50m歩行しており、介助が必要な場合は、3または4点と採点します。歩行中に3/4以上患者が行っている場合は4点、行っていない場合は3点となります。

質問

階段で4~6段自立していますが、12~14段は重度介助で昇っている場合は3点以上となりますか?

答え

12~14段昇降しており、介助が必要な場合は、3または4点と採点します。12~14段昇降している場合、3/4以上患者が行っている場合は4点、行っていない場合は3点となります。また、階段昇降は上がりだけでなく、下りも採点に含まれます。

質問

通常の生活場面ではエレベーターを使用しています。階段を使っていない場合はどう採点しますか?

答え

階段を使用していないので1点となります。この場合、階段は「できるADL」で評価ができ、採点することができます。

質問

施設の設備によって移動が50mできない場合は、どのように採点すればよいですか?

答え

どんな環境においても、連続50m歩行できないのであれば5点(15m歩行自立)か2点以下になります。

質問

移動についてです。昼は歩行で移動し、夜は車いすを使用している場合は、どのように採点しますか?

答え

この場合は、夜間の状態で評価してください。

質問

階段についてです。4~6段は自立しているのですが、8~12段では最小~中等度介助している場合は「4~6段自立」の5点より低い採点になりますか?

答え

この場合は5点より低い採点になります。また、採点の原則は、まず、「12~14段昇降」を評価します。「12~14段昇降」ができない場合に「4~6段昇降」を評価することになっています。

質問

階段で、3/4以上患者が行うという具体的な例はどのようなことがありますか?

答え

3/4以上の動作、つまり75%自立している場合です。介助量とすると最小介助になります。つまり、軽く触れる程度の介助量です。具体的な例は、ふらつくため介助者が軽く触れる程度の介助をするときになります。

質問

15m歩行は自立(5点)で可能ですが、50m歩行になると軽介助が必要(4点)の場合は低い方の採点になりますか?

答え

原則通り、低い方の点数になります。

質問

50mまたは15mを這ってまたは四つ這いで移動可能な場合はどのように採点しますか?

答え

這い這いで自立している場合は5点と採点します。

質問

階段の採点についてです。「しているADL」が4~6段、「できるADL」が12~14段の場合は、どちらを採点したらいいですか?

答え

基本原則として、「しているADL」を評価するので、この場合は「しているADL」による4~6段の方を採点してください。

質問

15m歩行ができますが、見守りが必要な場合は5点と採点しますか?

答え

50m歩行していない場合なので、5点または、1、2点となります。この場合は、15m歩行していますが、介助者が必要であり、かつ、1/4以上患者が行っていますので、2点と採点します。

質問

車椅子移動で15m以上こげますが、見守りが必要な場合は、5点と採点しますか?

答え

この場合は、15m以上こげていますので、5点または2、1点となります。また、患者は見守りがいりますが、1/4以上行っているため、2点と採点します。

質問

「4~6段の昇降」で見守りが必要な場合は、2点と採点しますか?

答え

1/4以上患者が行っていますので、2点と採点します。

質問

電動車椅子を使用している際に、自立している場合は6点と採点していいですか?

答え

車椅子の種類は問わないことになっていますので、6点と採点します

質問

50m歩行する際に30m歩き、少し休息して20m歩いて目的地に着いた場合は7点になりますか?(自立の場合)。

答え

歩行距離は連続歩行距離を考えます。この場合は50mではなく、15mの場合になります。

質問

歩行において、壁や柵などの使用も修正自立となりますか?

答え

修正自立になります。歩行では歩行距離も大切になりますので、忘れずに採点してください。

質問

入棟時に移動項目を採点する際、入棟から浅い場合は「できるADL」で採点してもいいですか?(リハ室では伝い歩きができているが、病棟ではまだしていない場合)

答え

FIMは「しているADL」で評価します。そのため、入棟が浅いからという理由で「できるADL」では採点することはできません。

質問

全盲の人に対して歩行を誘導するときはどのように採点しますか?

答え

常に誘導が必要な場合は、その誘導が「監視・指示」などであれば5点、少し手を触れているのであれば4点となります。

質問

階段などの項目で評価できない場合(身体的理由や患者の意欲などで)は、どのように採点しますか?

答え

評価できない場合は1点となります。

質問

移動時間には制約がありますか?

答え

特に制約はありませんが、通常の3倍の時間とされています。

質問

修正自立において3倍以上の時間とありますが、各項目で何分以上が3倍となりますか?

答え

時間の定義については、明確に規定されていません。

質問

安全への配慮で、病院の構造・病床管理上、常に配慮されている場合はすべての患者が6点以下になりますか?
例)浴室に、滑りとめマットを敷いている。

答え

施設で前もって準備されている場合は修正自立になります。

整容

質問

入院中、男性にとって髭そりは大事な整容の部分ですが、女性には必要ないし、入院中はお化粧も必要ないとすれば、男性は5項目、女性は4項目というふうに考えてもいいのでしょうか?

答え

いつもしているかどうかで考えて下さい。男性でも髭そりをいつもしないのであれば、残りの項目で評価します。例えば、髭が伸びても剃らないという患者の場合、介助者が剃ってあげるのであれば全介助なので1点、伸びたままで放置して良いのなら介助量は増していないとして他の4項目のみで考えて下さい。女性でもお化粧をせずにリハビリテーションセンターで訓練している患者の場合は採点に含めないで4項目で評価して下さい。

質問

義歯についてはどのように考えたら良いですか。装着したまま歯ブラシはしているが、外して洗うことには介助がいる、夜間の義歯の管理にも介助がいる場合はどうですか?

答え

「義歯を自分で洗うが、他人に洗浄液の中につけてもらう」は4点です。日中と夜間で介助量が違う場合は低い方で点を付けて下さい。

質問

朝、タオルを看護師が用意してくれ、それを使って自分で顔を拭いたら何点ですか?

答え

タオル・おしぼりを用意してくれる場合は準備の5点です。

質問

口腔ケアで、(一応、患者が全部歯を磨いた後)仕上げを手伝った場合はどうですか?

答え

歯磨きは自立しており、仕上げを手伝ってもらうのみは最小介助の4点となります。

質問

口腔ケアの採点の動画の7点では、あらかじめコップに水が入っている前提で完全自立となっていましたが、コップに水が入っている状況は準備に該当しないのですか?

答え

動画についてのご指摘ありがとうございます。7点の動画では時間を考慮してコップに水が入った状態から開始しています。コップの水は自分で入れたこととします。そのため、自立の7点となります。

更衣

質問

更衣が看護師の時間の都合で介助量が増えている場合は、減点対象に含まれるのでしょうか?

答え

しているADLで評価するため、そうなります。ADLの低下の原因については個人要因のみでなく環境要因も検討しなければなりません。

質問

靴の着脱で、椅子を用いて座位で行うのと、立位で行うのと点数は同じですか。両者とも介助や監視が必要なければ自立とみて良いですか?

答え

姿勢は問いません。自立していれば7点です。通常の椅子は補助具には含まれませんが、特殊な椅子を使用している場合には減点となります。

質問

下衣の引き上げは自分で行うことが出来るが、シャツをズボンの中へ入れたりする仕上げのみ介助してもらっている場合は、ズボンは0%になるのですか?

答え

どの程度出来たかは、更衣動作をいくつかに分解して、そのうち何動作出来たかで判断して下さい(例:片足を通す、もう一足を通す、引き上げるの3動作など)。仕上げのみの介助は、75%を自分で行っていると考え、最小介助の4点になります。「シャツが出ている」と指摘され、それを自分で直すことが出来れば、助言のみで5点となります。FIM講習会冊子末巻の具体例を参照して下さい。

質問

更衣などで人工骨頭の術後など禁忌肢位が含まれる場合(特に認知症のある方など)は促し・見守りが必要になると考え5点になるのですか。それとも間違った場合は動作を止めるので介助が必要と考えるのですか?

答え

促し・見守りのみで手を触れる介助が必要なければ5点です。間違った場合に動作を止めるのに指示のみで可能な場合も5点です。

質問

靴下が片方だけ介助が必要な場合は25%の半分として考えた方が良いのですか。靴下全体が介助が必要と判断するのですか?

答え

片方の靴下のみ介助は、いくつかの活動の中の1つが介助であるので4点となります。

質問

ベッドサイドの衣装ケースにズボンが入っている場合に、自分で取りに行けなければ準備を介助とみなされるのでしょうか?

答え

衣類の取り出しに介助が必要な場合で、介助者が届けている場合は5点です。病院の習慣上、服を取り出すことを患者は行わないが、その他は自立している場合は5点です。

トイレ動作

質問

トイレットペーパーがなかなか取れない人がいて、それだけ介助の場合はどうですか?

答え

準備になるので5点です。

質問

トイレ動作で、手すりでなく壁に寄りかかって更衣が可能な場合はどうですか?

答え

壁にもたれるということは安全性の配慮があると考えられますので、修正自立の6点となります。

質問

トイレ動作でズボン上げ下げの時には手すりを使用しないが、便器から立ち上がる時に手すりを使う場合はどうですか?

答え

ズボンを上げるために立ち上がるなどトイレ動作のために手すりを使用することは補助具の使用にあたるので修正自立の6点となります。移乗時に手すりを使用する場合はトイレ移乗の項目で減点対象になります。

コミュニケーション

質問

コミュニケーションは初回評価時に多くの頻度で採点ができないので難しいのですが、工夫していることはありますか?どれくらいの会話の中から判断すればよいのでしょうか?

答え

ある程度の時間が必要だと考えられますが、規定はありません。

質問

「複雑・抽象的な内容の理解/表出」で「TV・新聞の話題」は可能ですが、学問的な内容はできない場合は、「複雑・抽象的な内容の理解/表出」は不可能と判断するのでしょうか?

答え

学問的な内容は評価の対象となっていません。複雑・抽象的な内容の例として、集団会話、テレビや新聞の話題、ドラマの筋や冗談、宗教的な内容、金銭問題があります。

質問

「2点」の「単語レベル(音声呈示)」とは「ジェスチャー」を伴うという意味でしょうか?簡単な内容を半分理解していても、ジェスチャーを伴えばほぼ可能となる場合は3点でしょうか?

答え

必ず両方を呈示するという意味でなく、音声呈示のみであれば単語レベルの場合2点、ジェスチャーを用いる必要があれば2点、ということです。ジェスチャーを用いた場合は、音声呈示していたとしても、2点となります。

質問

複雑・抽象的な内容の理解/表出が不可能と判断する基準は何でしょうか?どこまでの手助けなら可能と判断し6点とすべきでしょうか?複雑、抽象的な内容をジェスチャー・yes/noで理解できたら6点としても良いでしょうか?

答え

理解していても表出できない、理解できていないがよく話す、ということがあるので、別々に評価しなければならなりません。特に、理解しているかどうかについては、何らかの表出がないと判断しにくいですが、TVをみて理解している、冗談で笑うなど観察が必要です。理解については表出の内容が正しいかどうかでなく、まずはわかっているかどうかです。わかっていないと判断して手助けをした場合は5点以下で点数をつけます。ジェスチャー・yes/noの評価は基本的欲求のみです。

質問

「一人で歩くと危ないので、歩くときは声をかけてください。」の「声をかける」だけを理解できたら何点でしょうか?

答え

簡単な内容、短文レベルの理解です。この程度であれば必ず理解できるのであれば5点、そうでなければ割合で4~1点となります。そのあとの判断力は問いません。

質問

普段手話を使用しており、セラピスト、Nrs、他の患者には伝わらないが、家族と会話ができる場合は何点でしょうか?

答え

視覚や非音声は聴覚障害のような場合に“言葉”として使っているときは、その手段をチェックしてよいことになっています。

質問

以前は発話で伝えていたが、病気によりジェスチャーで伝えるようになった場合何点でしょうか?

答え

ジェスチャーなので、2点となります。

社会的交流

質問

・重度の失語症や意識障害など、寝たきりの方の社会的交流で、拒否も受け入れもない方は何点でしょうか?
・ほぼADL全介助で寝たきりの方で、迷惑行為は一切無いが、自ら交流することのない場合は何点でしょうか?スタッフが声掛けした際に、無反応と笑顔で返さす場合で得点が変わるのでしょうか?

答え

適切な関わりを積極的に取れない場合、取れていないという自覚がなければ1点です。笑顔に「他者との交流」という目的が見て取れるのであれば、割合で点をつけます。例えばlocked-in症候群の患者でも瞬きで挨拶をして他者と交流を持ちたいと考えている場合は7点です。

問題解決

質問

1人で歩行すればリスクがあるということは理屈では分かっていているが、「1人で歩くときには用心しています。」と言い、毎回一人で歩こうとする場合は何点でしょうか?

答え

独歩に関しての評価が「他の簡単な問題についても同様」と判断できるのであれば、1点となりますが、他の簡単な問題についてはできているのであれば、全体の割合で5~1点とします。1人で歩行すると危険である誰かを呼ぶようにと再々説明を受けているにもかかわらず、このような返答をする場合は分かっていないと考え「問題あり」と判断します。

質問

単独行動があるため病室では4点柵固定、車椅子・ベッド周囲にセンサーマット等を利用している場合は何点になるでしょうか?

答え

「独歩は危険だから誰かを呼ばなければならないということが分かっていない」、「必要なときにナースコールを押せない」という状態です。それだけの環境設定が自分になぜ必要なのかが分かっておらず、センサーが反応しスタッフが慌てて対応しに行かなければならない状況であれば、この内容は「問題あり」と判断します。他の問題と合せて全体の割合で5~1点とする。

質問

退院の話になると拒絶し、拒食や体調不良となることを繰り返して、入院を継続していました。退院後の在宅生活を考えて、長期入院するために故意にこのような行動をとっていたと考えられますが、何点でしょうか?

答え

退院に関する本人にとっての問題解決方法の一つであったと考えられますが、正しい解決方法とは言い難いです。特殊なケースなので、金銭管理や、薬の管理、対人トラブルなど、他の場面とあわせて割合で考えた方がよいでしょう。

質問

病棟でのトイレは自立しているが長時間かかり、他患者は迷惑だと思っています。病棟では何分かかっても自立していれば迷惑を感じないようです。他患者と病棟スタッフのどちらの迷惑で点数をつけたらいいでしょうか?

答え

トイレで排尿・排便以外のことをしている、故意に篭城するというような迷惑をかけているのであれば、減点されますが、排尿に時間がかかるなどであれば減点の対象になりません。

質問

コーヒーや新聞を購入するなど適切に依頼でき、移乗は自立しています。トイレ動作にはややふらつきがあり、本当は見守りレベルですが、人を呼ばずに自分一人で行っており、転倒はしていません。そのことを毎回注意されている場合は1点となるでしょうか?

答え

トイレのエピソードのみで評価すれば「全介助」レベルですが、他の場面でも同等と判断されないのであれば、割合で5~1点とします。

質問

退院に向けた準備や薬や金銭の管理などについて自分ではできないと思って、家族に任せる場合は何点でしょうか?

答え

判断はできるが、理由があって実行できないで家族に指図している場合は7点です。判断できずに全てを任せるのであれば、5点以下となり、簡単な問題のしている割合で点をつけます。

質問

転倒の危険があることを注意され分かっていたが、遠慮して声をかけなかった場合は減点するのでしょうか?

答え

危険であるにもかかわらず声をかけないことはスタッフに不安を与えるので減点されます。

質問

対人トラブルの評価は「トラブルが起きないように行動する」ということを評価するのでしょうか?それとも、「対人トラブルが起きてから対処する能力」を評価するのでしょうか?

答え

「対人トラブルが起きないように振舞うことができるか否か」の評価は社会的交流で評価します。対人トラブルとは相手のあることであり、自身が適切に行動していてもトラブルが起き、対応しなければならない場面に遭遇することもあります。その際に適切に対処できるか否かは、問題解決で評価します。

記憶

質問

メモリーノートを使用していて、毎回自分で見ているが、見るだけで内容を全く覚えていない場合は何点でしょうか。

答え

道具を使って生活が自立し、他人の介助を必要としないのであれば6点です。そうでなければ割合で5~1点で採点します。

質問

失語症における評価の代替方法について教えてください。

答え

失語のために命令が通らない場合、3段命令の実行という課題を省いて考えて良いことになっています。ただし、これは本当に評価できない場合であって、昨日の訓練の内容を覚えているか、見せた3つのことを示せるかなどでも測定できます。また、失語症の患者が続けて3つのジェスチャーをまねられたらそれは、要求(依頼)を実行したことと同様に考えて良いことになっています。