教授挨拶

桐生 純一(眼科学1教室主任教授)

川崎医大眼科学1教室のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。当教室は近年優秀かつ熱意にあふれる多数の若い先生方に恵まれ、2019年の実績は、外来患者数(1日当たり) 71.2人(目標70人)、入院患者数(1日当たり)16.7人(目標15人)、月平均新患者数外来164.7人(目標130人)・入院127.3人(目標95人)、平均在院日数4.0日(目標4.5日)と、目標を全て大きく上回りました。手術件数も2019年は総数1553件(前年1142件)、同時手術含む白内障1203件(前年863件)、硝子体手術383件(前年266件)、緑内障手術145件(前年134件)、斜視手術50件(前年53件)、角膜移植術31件(前年4件)と大きく実績が拡大しております。

私自身は、今年はHDRビデオカメラ搭載型眼科用映像システムを用いたheads-up surgeryに取り組んでいます。術野の映像を大画面(55インチ)3Dモニターに映し出すことで、術者が鏡筒を覗き込む必要がなくなり、モニターを見ながら(顔を上げて)随意の姿勢での手術が可能になるシステムです。5年前の硝子体手術セミナーでフランクフルトのEckardt教授の手術映像をはじめて目の当たりにしたときには、このようなシステムで手術を行う理由が理解できませんでしたが、実際に導入して自ら使用してみると、(もちろん未完成で不満な部分もありますが)多くのメリットがあることに気づかされ、毎回楽しみながら使っています。

黄斑部網膜の映像は従来の顕微鏡による観察と比較して鮮明で奥行きの深い表現が可能となり、黄斑のcystの除去や網膜血管の穿刺などの極めて繊細な操作への意欲が高まります。また網膜の雛襞や膜組織などの視認性も大きく向上しているため、内境界膜や増殖膜の処理をより確実に行うことができます。視認性向上による学生さんへの教育上も効果絶大で、実習への熱意もひしひしと感じます。

現在当教室は研修施設として極めて充実した状態にあり、若い先生方には最高の研修環境だと感じます。実際希望してくれる先生方が増えていることを実感しており、この良い方向への流れを大事にしたいと考えております。今後とも教室員一同、和やかな和気あいあいとした雰囲気を大切にしつつ、精進を重ねたいと思っております。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

令和2年5月