●【総論】
質問
自宅では介助で入浴、デイサービスでは機械浴と、生活する場によってADLが異なる場合には低い方を採るのでしょうか?介助者の都合で介助量が多くなる場合はどうですか? また、パーキンソン病の患者様など能力に変動のある場合は、低い方の点数で示せばよいですか?
答え
いずれも、低い方で採点します。機械浴であるため1点です。
質問
FIMを評価することで『介助者の都合で介助量が多くなってもそのまま点数をつける』これは、①点数が低くなると解釈してよいですか?また②介助者が変わると介助量が多くなる場合、低い点数を取りますか?
答え
①点数は低くなると解釈します、また、前問同様②は、低い点数を取ります。
質問
6点の「安全性の配慮」がどういうものか分かりません。また、監視とは違うのですか?
答え
安全のために物品等が必要であり、監視が必要でない場合は6点。必要な場合は5点という意味です。
●【移乗・移動】
【移乗】
質問
移乗動作の際、介助者が男性であれば1人介助で動作が可能であるが、介助者が女性であれば2人介助必要な場合は1点でいいでしょうか?
答え
普段している方で採点して下さい。どちらの介助方法も行っている場合には、点数の低い方をつけて下さい。
質問
患者参加率25%未満となる場合の具体例は?例えば、車椅子から立ち上がる時に身体を前屈させようとすれば25%以上なのですか、未満なのですか?
答え
具体的には全介助での移乗、リフターの使用等が該当します。車椅子から立ち上がる時に身体を前屈させる介助のみであれば患者参加率は25%以上になると思います。
質問
フットレストが外せるタイプの車椅子で、常時フットレストを外して使っているが、移乗動作は自立している。この場合は5点ですか?6点ですか?
答え
その車椅子を使用することで動作が容易になっているのであれば、修正自立の6点と採点します。しかし、どの車椅子でも同様にアームレストなども使用せず移乗している場合には7点と採点します。
質問
移乗動作で、見守りで立てるが、方向転換のみ介助が必要な場合は3点ですか?
答え
移乗の得点イメージでは手を触れる程度の介助で4点、持ち上げかつ回すような介助で2点となっております。この場合、4点よりも介助量は多く、2点よりも介助量は少ないと言えますので3点と採点します。
質問
浴槽から出る際に、両下肢を介助し軽く身体を引き上げた場合には何点になりますか?
答え
両下肢の介助、軽く引き上げる介助のいずれも3点の介助ですので3点と採点します。
質問
シャワーチェアへの移乗が5点、浴槽への移乗が3点の場合、浴槽移乗は3点ですか?それとも、シャワーチェア、浴槽への移乗で優先順位はありますか?
答え
普段している方で採点して下さい。どちらも行っている場合には低い方の点数をつけて下さい。
質問
点滴や治療のため入浴できない場合は1点でいいですか?
答え
FIMは項目ごとに1~7点で採点すること、「しているADL」で評価することが原則となっています。この場合、していないのであれば最低点数である1点となります。
【移動】
質問
主に這って移動する場合には、どのように点数をつければいいですか?
答え
這って移動している場合には、歩行と同様の方法で採点して下さい。
質問
歩行の50mという距離は、連続歩行の距離ですか?途中で休憩するのはどうですか?
答え
規定の距離(50m・15m)を移動できるのであれば、途中で立ち止まってしまっても構いません。但し、立ち止まって休憩をする場合、規定の距離を移動するのに通常の3倍以上の時間がかかれば、減点となります。
質問
四つ這いでの階段昇降はどう解釈するのでしょうか?
答え
昇降する方法は問いませんので、四つ這いの場合にも昇降可能な段数と介助量で採点して下さい。
質問
階段の採点で5点となるのは具体的にどのような場合でしょうか?
答え
危険性があり監視が必要な場合、動作手順などを指示する必要がある場合、12~14段は昇降できないが4~6段であれば動作が自立している場合などが挙げられます。
質問
7~11段であれば階段昇降が自立している場合や2~3段であれば自立している場合にはどのように採点しますか?
答え
前述の場合、12~14段の昇降はできていないため4~6段自立していると考え5点と採点します。後述の場合、そもそも4~6段の昇降ができていないため1点と採点します。ただし、2~3段の段差しかないという環境であれば、それを繰り返し昇降可能な段数としていただいても問題はありません。
●【食事・清拭・排泄コントロール】
【食事】
質問
食事中に介助者が食器の位置を変更した場合は何点になりますか?
答え
25%以下の介助にあたるので4点となります。
質問
10?15分であれば自己で食事摂取が可能であるが、それ以降は疲労の影響により動作に介助が必要となる場合は何点になるのですか?
答え
FIMでは低い点を採用することとなっているので、介助が必要となってからの介助量で点を決めます。
質問
絶食中では何点になるのですか?
答え
食事を行っていない場合は1点となります。
質問
PEGは何点となるのですか?
答え
注入の介助量によって点が決まります。
例えばPEGを使用し自己で注入を行っている場合、PEGは補助具にあたるので修正自立の6点となりますが、注入をすべて介助者が行っている場合は1点となります。
質問
配膳前に1口大にカットされている食事を自己で食べている場合は何点になるのですか?
答え
配膳前にカットされている場合は、食事形態の工夫であり安全性への配慮と考えるので6点となります。配膳後にカットする場合は準備にあたるので5点となります。
【清拭】
質問
清拭の準備項目にはどのようなものが含まれますか?
答え
タオルを絞る、石鹸をつける、湯の温度を調節するなど清拭を開始する前までに行うことが含まれます。
質問
洗えていない場所があるが、放置している場合には何点になりますか?
答え
患者が自立しており、介助者が関与していない場合、指摘も受けていない場合には洗えていない部分があっても7点となります。
【排泄コントロール】
質問
排尿管理・排便管理での補助具には、どのようなものが含まれますか?
答え
ポータブルトイレ、尿器、バルーンカテーテル、コンドームカテーテル、導尿、テープ式オムツ(紙オムツ)、リハビリパンツ、尿取りパットなどが含まれます。
質問
オムツを使用している場合は何点になりますか?
答え
オムツ内に失禁し自己で交換が行える場合は6点となります。
失禁後にオムツ交換を依頼し、介助者に交換してもらう場合は2点となり、失禁後にオムツ交換の依頼を行えない場合は1点となります。
質問
ポータブルトイレを使用し自立していれば6点となりますが、ポータブルトイレの準備や片付けは含まれるのですか?含まれる場合は何点になるのですか?
答え
ポータブルトイレの準備や片付けまで自己で行えていれば6点となりますが、準備や片付けを介助者が行う場合は5点となります。
質問
排泄に関する内服薬の使用状況、夜間と日中、季節などによって点数が変化する場合は、どのように採点するのですか?
答え
それぞれの状況を評価し、低い方の点を採用します。
質問
尿意はあるがトイレへ行く習慣がなく自ら尿取りパットに排尿し、排尿後のパット交換は自己で行えている場合は何点になるのですか?
答え
失敗の面から考えると失禁はしているが、失敗はしていないので7点となります。
介助の面から考えると補助具にあたる尿取りパットを使用し、自己でパット交換が行えておりますので6点となります。FIMでは低い方の点を採用するのでこの場合は6点となります。
質問
排便管理の介助にはどのようなものが含まれるのですか?
答え
座薬、摘便、浣腸、腹圧援助が含まれます。
座薬は採点基準が決まっているので残りの3項目の介助量で評価します。
●【整容 更衣(上半身・下半身)トイレ動作】
【整容】
質問
口腔ケア後、口腔内に残留物があり、口腔内チェックが必要な場合は何点になりますか?
答え
口頭指示のみで自己で残留物が取り除ける場合は5点、取り除くのに介助が必要な場合は4点以下になります。
質問
義歯の細かい採点基準があれば教えて下さい。
答え
特に細かい採点基準はないため、介助量により採点して下さい。
【更衣】
質問
前開きタイプで「ボタン」がなく、代わりに「ひも」の服の場合、採点方法はどうなりますか?
答え
ボタンと同じ扱いになります。したがって、その部分に介助が必要であれば4点となります。
質問
肌着をズボンの中に入れる介助が必要な場合、また、前開きタイプで服を整える介助が必要な場合は何点になりますか?
答え
着衣後の衣服の乱れについては、口頭指示のみで自己で直せる場合は5点、直すのに介助が必要であれば4点となります。
質問
更衣時に軽く体を支える介助が必要な場合は何点になりますか?
答え
更衣動作自体は自分で行えている場合で、軽く支える程度の介助が必要であれば4点になります。
質問
普段着の更衣は自立しているが、仕事で着るスーツは袖口のボタンやネクタイに介助が必要な場合どうなりますか?
答え
日常生活で主に着ている衣服で評価します。ほとんどスーツで生活しているのであれば、スーツの更衣動作を評価します。ボタンやネクタイに介助が必要な程度であれば4点になります。
質問
自宅でも病院でも寝巻しか着ていない場合、採点はどうなりますか?
答え
社会的に受け入れられる衣服を着ていないため1点となります。
【トイレ動作】
質問
軽く体を支える介助が必要であるが、支えてもらえばズボンの上げ下ろしができる場合は何点になりますか?
答え
トイレ動作自体は自分で行えており、軽く支える程度の介助が必要であれば4点になります。
質問
トイレ動作は自立しているが、トイレットペーパーを切ったり、折ったりできないため介助を要している場合はどうなりますか?
答え
トイレットペーパーの介助はトイレ動作の準備にあたるため5点となります。
●【認知項目】
質問
見守りが必要とスタッフが判断し、ナースコールの使用をお願いしているが、本人は「一人でも大丈夫」と答え、ナースコールを使用しない。実際に転倒もない。この場合の理解、問題解決の採点はどうなりますか?
答え
・理解:『ナースコールの使用依頼』は単純な会話となります。この場合には意味は理解できているので5点以上です。もし、それ以外の複雑・抽象的な内容も理解できていれば6点以上となります。
・問題解決:『ナースコールの必要性』は簡単な問題となります。危険認識が不十分であり、周囲に不安を与えるので減点され5点以下となります。ナースコールを押す頻度によって点数を算出します。
質問
難聴で大きな声で話しかければ問題ないため、理解は修正自立(6点)と点数をつけたが、複雑な内容となると注意などの影響で繰り返し伝える必要がある場合には、点数は下がるのですか?
答え
『繰り返し伝える』という配慮があれば、複雑・抽象的な内容も理解可能なので6点で良いと考えます。
質問
記憶の際、メモリーノートの使用は前提なのでしょうか?本人がメモリーノートの使用を嫌がっており、適切に使用できていないことがあります。この場合の記憶の採点はどうなりますか?
答え
メモリーノートを使用せずにどの程度覚えられているか、どの程度介助が必要であるか、その程度によって得点を算出します。普段の日課、よく会う人の認識、人からの依頼の実行にも介助が必要であれば1~5点となります。この3項目の記憶が可能で、メモリーノートやタイマー等の道具が必要であれば6点、必要でなければ7点となります。
質問
認知症の方のように、能力にムラが大きい方は低い点数をつけるのですか?
答え
はい。FIMでは日内変動がある場合は低い方の得点を採用することとなっています。
質問
挨拶すれば会釈をしてもらえるが、顔を覚えているか不明。記憶はどのように評価すればよいですか?
答え
担当者、担当者以外で反応が違えば、人の認識はできていると判断してよいです。
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