第10回 FIM講習会in倉敷 / 質問と回答
FIM講習会質問

運動項目全般

質問

セルフケアなどの運動項目で、共通した認識で重要な点は?

答え

FIMは原則低い方の点数を採用すること、「しているADL」で評価すること、介助を必要とする場合には、介助量の%によって1~4点で採点することです。

食事

質問

食事の採点(P32の3点)のところで、「スプーンで食べ物をすくう介助」というのは、「すくい残しをかきあつめる」「フォークに刺す」という二つの項目が合わさって、50%できていないということでしょうか?

答え

質問の意図が理解できませんでしたが、自己でスプーンを把持できても、すくう動作が不完全で、手を持ってすくって上げれば介助とみなします。それが毎回であれば全体の食事動作の50%程度は介助が必要ということです。「すくい残しをかきあつめる」というのは、介助者がスプーンを使って寄せることで、その介助のみであれば4点になります。「フォースに刺す」とは、介助者が肉などをフォークで突き刺して上げることで、その介助のみであれば4点になります。これらの下位項目はあくまで独立した例であり、全体の介助量によって評価します。

質問

食事の採点の場合、動作が自立しているものの食べこぼしが多い場合、採点に関係しますか?その食べこぼしが配膳した量の半分あるいは1/3などで点数が異なりますか?

答え

摂取量自体は加味していませんので、減点対象にはなりません。ただし、これほど食べこぼしが多い場合は、介助するか、食べこぼしを減らすような工夫(準備)が必要と考えます。その介助量によって採点して下さい。食べこぼしが少なくてもエプロンを使用するなどの配慮が必要です。

質問

普段から食事時に割り箸を使用している場合、減点対象とはならないですか。

答え

割り箸は補助具ではないので減点にはなりません。ただし、割り箸を割るのに介助が必要であれば「準備」として減点対象になると考えます。

質問

食事について、何が出来なければ介助量が何%くらいなのか具体的に知りたいです。

答え

テキストに具体例を載せていますので参考にしてください。厳密にとらえず、ある程度の割合(%)で結構です。

整容

質問

習慣的にしていない場合では、4項目を100%として計算できるのはなぜか?

答え

原則は洗顔、口腔ケア、洗髪、手洗い、髭剃り/化粧 の5項目で評価しますが、髭剃りや化粧は普段実施してないことがあるため、これらを抜いた4項目で評価しても良いということになっています。(規則です)

更衣

質問

普段はTシャツを着るが病院の甚平を夕方に着ないといけない場合、Tシャツは自分で可能、甚平は紐が結べず介助が必要となった時はTシャツのみの評価でいいでしょうか?

答え

外出着は「社会的に受け入れられる服装」のことをいうので、病院指定の甚平はいわゆる病衣ととらえることが出来ると考えます。この場合、普段着用しているTシャツと病衣である甚平の両方の更衣動作に準じた採点で良いと考えます。この場合、低い甚平の点数で評価します。

質問

更衣の際、背部を支える介助をした場合は評価に影響しますか?

答え

影響します。更衣動作そのものは実行できますが、遂行のためには触れる程度の介助が必要なため4点となります。

セルフケアと排泄コントロール

質問

オムツを装着している患者で、交換の依頼ができないが、失敗は月1回未満の場合でも排尿管理、排便管理、トイレ移乗、トイレ動作は「1」となりますか?

答え

まず排尿・排便管理は「失敗」と「介助量」の両面から採点し、低い方の点数で採点します。交換の依頼という文言から「ほとんどの場合で失禁」と捉えます。交換の依頼ができないため介助量は「1」です。失敗は月1回未満のため「5」点相当ですが原則に則り排尿・排便は1点となります。トイレ移乗については、していない場合には「1」点。トイレ動作はオムツを取り換える際の、1)服を下げる、2)拭く、3)服を上げる、の3つで評価します。通常この場合、全介助と思われるため「1」点で良いと考えます。

排便管理

質問

下剤により下痢となり、便汚染があった場合、ポータブルトイレにしっかり排便できていても失敗とするのでしょうか。(例;便器に汚れがついていて汚れのふき取りが自分で出きず、他者がその処理を行う場合)

答え

便汚染により介助が必要であれば失敗と捉えます。1回のみでは減点にはならないと考えますが、一定期間の下痢では頻度により採点します。また、この場合はいわゆる医原性であることから、このまま採点するよりもまずは便性状のコントロールによって失敗の頻度を減らすことを目指すべきと考えます。

移乗

質問

移乗について、立ち上がりに介助量が大きい(中等度介助程度)が、立位をとれば方向転換は自力で可能な場合は3点ですか、2点ですか?

答え

移乗は立ち合がり⇒方向転換し⇒着座する、3つの連続した項目から成ります。方向転換は自己で出来ており、また着座が自己で出来れば3点相当で良いと考えます。

移動

質問

移動について、リハビリ室へ移動をしている状態を、ADLとして含んでよいですか?(リハビリ室への移動のみ15m以上歩行している場合)

答え

FIMはしているADLであり、リハビリ室への移動以外には病棟生活で歩行していないとすれば、減点されます。

歩行について(普段歩行している方)

質問

病棟内での歩行は15m未満(トイレ移動等)、リハビリ訓練では50m以上の歩行可能な方で、病棟での歩行頻度の方が多い場合、評価は15m未満となるのか?

答え

原則「しているADL」で評価しますので、頻度に関係なく、生活の場である病棟での歩行能力および距離で採点します。

認知項目全般

質問

何を以て10回を満点とするか

答え

必ずしも10回とは限りません。関わりの回数に対する頻度で評価します。特に認知項目では一人の介助者では偏りが出やすいため、普段関わりのあるスタッフ数人の間で話し合って決定するのが良いと考えます。

質問

認知項目は、良い状態の時における、理解・表出を評価するのでしょうか?
例えば夜間せん妄などが現れる時に評価をしても、意味がないように感じます。また、それほどひどくないにしても、帰宅願望や精神的な不安による一時的な変化の場合をどこまで留意しておくべきでしょうか?

答え

FIMは原則に則って、悪い時の状態で点数をつけます。
また、夜間せん妄やその様な精神状態の変化であれば理解・表出よりも社会的交流や問題解決に影響すると思われます。内服でコントロールしていれば6点以下となり、発熱などによる一時的な変化であれば、その期間によっては加味しなくても良いと考えます。

表出

質問

気管カニューレ挿入中で、声で表出できず筆記で表出する場合は何点ですか?スピーチカニューレをつけて声で話せる場合は6点でしょうか?

答え

筆記で自立していれば表出は6点となります。
スピーチカニューレで発声するための準備(カフの脱気、内筒の抜去、スピーチバルブの設置など)が必要な場合は、表出5点と考えます。上記の準備が要らない場合(常時カニューレがついている場合)は、6点となります。

社会的交流

質問

社会的交流の例がわかりにくい。

答え

社会的交流とは「迷惑行為」のことです。病棟内での迷惑行為を、関わりの中でどの程度認めるかによって決定していきます。

問題解決

質問

問題解決についての「例」のスライドで、「基本的な事柄に関することをしていないので5点以下」ということはわかりましたが、頻度についての判断が分からないです。

答え

自分だけで評価しようとすると関わりの場面に偏りが生じる可能性があるため、複数のスタッフ間で話し合って、頻度を決定するのが良いと考えます。

記憶

質問

よく会う人とは、家族を含んでよいのでしょうか?

答え

発症後の病棟生活での評価となるので、よく会う人とは病院内のスタッフに限ります。

FIM全般

質問

排尿管理・排便管理とありますが、管理となると医療従事者が採点・評価をすることになると思うのですが、ケアワーカーでもFIMを評価することは可能でしょうか?

答え

可能です。実際に介助に関係している者が採点に参加することが望ましいですが、情報を聴取して点数を導きだすことは可能です。

質問

FIMコメントに「軽介助」や「一部介助」を補足して記載することは可能ですか?

答え

備考に記載することは可能ですが、FIMはより詳細に%で評価する採点方法ですので、あまり意味はないかと考えます。

質問

FIMを評価する場合の具体的期間、評価者は同じ人間がいいのですか?
初期・最終評価時の採点者は同じ人物がいいのですか?
入浴など男性職員では見ることが出来ない場合、どうすればよいですか?

答え

初回の評価は、72時間の状態を観察して行います。初回評価から次の評価までの期間は、2週間~1か月が望ましいと考えます。必ずしも同一人物、また一人が採点する必要はありません。普段関わりのある全てのスタッフが話しあって決定します。

質問

外来患者の場合、FIM評価はできませんか?

答え

普段関わりのある人物が評価者することが可能です。家族からの聴取のみでも良いですが、例えば介護保険を利用してケアマネージャーやヘルパー、訪問スタッフなどに採点してもらうのも良いでしょう。

質問

排便の評価について 入院72時間以内に排便が出なかった場合未評価となりますが、採点の際には1点で計算するのですか。その後、排便時に再度点数を修正するのですか?

答え

その通りです(参考:テキスト「脳卒中の機能評価 SIASとFIM」のP.108)

その他

質問

FLOW-FIMの使用について、看護師や介護士がFLOW-FIMを使用するのはダメでしょうか?スタッフより使用しやすくわかりやすいと言われるのですが…

答え

Flow-FIMは,患者や利用者の家族,FIMを熟知していない職種ADLに,ADLを採点してもらわざるを得ない状況で使うADL評価方法です。FIMは,本来の定義、採点法に従って採点すべきです。療法士、看護師,介護福祉士などリハビリ関連職種の方がFlow-FIMで,患者の採点をするのは正しくありません。(なお,Flow-FIMを作成した藤田保健衛生大学七栗サナトリウムのホームページ http://www.fujita-hu.ac.jp/~rehabmed/nanakuri/index.htmlもご参照ください。)