第1回 FIM講習会in倉敷 / 質問と回答
※FIMテストの訂正について

今回、行いましたテストに不備がありましたのでお詫びとともにここに掲載いたします。

6、大腿部と臀部を洗ってもらう。   点

《回答》

6、大腿部と臀部を洗ってもらう。 4 点

解説

 洗体に介助が必要な場合、4点以下である。10箇所法で考えると8/10=80%は自分で洗っているということになる。これは75%以上できているので4点

となっていましたが、大腿が左右一箇所なのか、両側2箇所なのかが抜けていました。片側の場合は4点ですが、両側と考えた場合には、7/10=70%自分で洗っていると考え、3点となります。
ご指摘していただいた方、誠にありがとうございました。

FIM講習会質問

質問

理解:質問や会話内容として全くずれた返答が帰ってきた場合の判定はどうすればよいのですか? 例:「今日の天気は?」→「今日の朝は○○を食べました。」や、リハビリの話をしているのに、別の話題(ドラマなど)を話し始める。

答え

理解:‘相手が伝えようとしていることの意味を正しく捉える能力’を評価するものですので、この患者では捉えられていないため、理解の点数が下がります。何%くらい手間がかかるかで点数を付けてください。

質問

覚醒にムラがある患者様はどの状態で評価するか?

答え

日内変動がある場合、低いほうの点数を付けます。

質問

「問題解決」で服薬金銭管理以外で判断する具体的な例を教えてください。

答え

問題解決は‘生活に即した問題にどう対応するか’であり、服薬、金銭管理だけで判断するものではありません。複雑な問題としては、退院後の生活に関する問題や、対人トラブルの処理などが含まれます。これらが可能ならば6点か7点。できなければ、簡単な問題解決能力で採点します。具体例はFIM講習会冊子の‘具体例’をご参照ください。

質問

「整容」で、義歯を使用していない人の口腔ケアは「うがい」を評価項目とするのでしょうか?

答え

‘口腔ケア’として「うがい」をしているのであれば、「うがい」を評価項目とします。汚くても放置されているのであれば、介護量は増えていないとして、ほかの4項目のみで評価します。

質問

社会的交流の点数の付け方で7点になる方とはどんな方ですか?また、寝たきりの方はどうなりますか?

答え

スタッフや他患、家族と適切に関わっている方が6点か7点になります。具体例はFIM講習会冊子の‘具体例’をご参照ください。また、寝たきりの方で交流も行っていない場合、自ら社会的交流をしていなければ1点になります。

質問

リハビリの病院ではどのようにFIMを付けているのか?また特別な評価チャートを使っているところがあれば参考にしたい。

答え

入院時、退院時、毎月の評価としてつける。また、カンファレンスに用いる。施設間同士の連携パスなどにも利用されています。記録用紙は自由です。評価はできる能力をみるのではなく、している状態から判断するので、特別なチャートは使用しません。

質問

昨日までは行えていたのに、本日だけ筋疲労でできなかった場合には、いつの時点を評価すべき?

答え

経過観察し、日常生活において日差による変動がみられるなら、低いほうの点数をつけてください。感冒などによりその日だけ問題であった場合には、その日のデータが重要でないのであれば無視してよいと思います。

質問

医療上、コルセットを装着しなければ起座~立位、歩行の許可が出ていない場合、コルセットの着用は補助具の使用とみなされるのでしょうか?コルセット装着に介助を要す場合は準備で5点でよいのでしょうか?

答え

フィラデルフィア装具などの頚椎コルセットは歩行補助具には当たりません。体幹コルセットは歩行補助の目的として使用している場合には補助具になります。例えば装着しなければ前屈姿勢となる、下肢痛が増大して歩けないなどの場合です。腰痛治療の目的で使用している場合は歩行補助具には当たりません。装着は更衣(上)の項目で採点します。

質問

各項目に6点の基準となる「安全性配慮」とありますが、具体的にどういった事柄ですか?5点の「準備」との違いを教えていただければと思います。

答え

例えば・・・転倒して怪我をする危険がある患者さんの場合
○危険があるため、監視(見守り)を受ける場合・・・5点(準備・見守り)
○危険はあるが、何らかの理由で介助者がついていない、本人自身が壁を利用したり、安全に行うための方法などを選んでいるような場合・・・「安全性の配慮」で6点
※5点では介助者がそばについて危険に配慮するが、6点では患者本人が危険に配慮することになります。

質問

「指示、助言、促し」の具体的な表現を教えてください。

答え

更衣を例にとると
指示:「服を着替えましょう」という声かけ(指示)がないと着替えをしない。
助言:服の着方が分からなくなったとき「袖から手を引き出してから、次の動作にしましょう」という助言が必要
促し:服を着るのを途中でやめる場合、「もう少しですよ。次は・・・」と促しが必要になる、など。
あくまで、口は出しても手は出さない場合を言います。

質問

「移動」で①3/4以上、②1/4以上患者が行う動作のイメージは①軽く触る?②しっかり支える?でよいのですか?

答え

移動はまず移動距離(50mか15mか)を考えて点数をつけます。
・①3/4以上患者が行う4点:50m移動している。介助者はフラフラしたら支えようと、手を触れている状態。
・3点:50m移動している。介助量は持ち上げるくらい。
・ ②1/4以上患者が行う2点:50m移動していないが、15mは移動している。しっかり支える必要があるが、1人で介助可能。
・1点:2人介助でなら15m移動する。1人介助では15m未満しか移動できない。

質問

起き上がりの減点は、どのように考えるのでしょうか?

答え

移乗の項目にはベッドから起き上がる部分も含まれます。しかし、その後の移ることのほうが比重が高いとされています。起き上がりのみ介助が必要で、移ることが自立しているのなら3点となります。

質問

「移乗」に関して、PTが一人で抱えて移乗可能な場合、2人介助ではないため2点ですか?それとも患者の参加がない場合は1点ですか?1点と2点の違いは?

答え

移乗のとき、患者の参加が全くなく、抱き上げてもらったり、かかえ上げてもらうのであれば介助者が1人であっても全介助のため1点となります。
原則として対象者が「25%以上、50%未満自分で行う」が2点、「25%未満しか自分で行わない」のであれば1点です。

質問

バルンカテーテルを使用している場合の排泄コントロールは?

答え

排尿管理の項目で点数を付け、バルーンカテーテルの管理の介助量で点数を付けます。自分で全部管理できれば6点、挿入は月に4回ほど介助してもらうが、蓄尿袋は自分で交換するは5点、すべて介助してもらっていれば1点です。

質問

座薬の採点基準について、頻度と介助の要・不要でまとめられているが、脊損患者で、毎回(週3回以上)自力で座薬挿入を行う場合、どのように採点するのか?

答え

1日おきに座薬を用いており、毎回座薬を準備してもらうか、監視が必要であれば5点、自分で準備するのであれば介助は必要ないため6点です。

質問

更衣について、入浴前後の更衣場面は評価にならないそうだが、日常での更衣場面が入浴時のみで自立している場合、どのように考えればよいか?

答え

原則としてFIMの更衣では「入浴前後の更衣は特殊な状況なので含まない」としているが、これは「更衣の時間が限られる」や、「ぬれている場合には、普通よりも難易度が高いため」である。しかし、日常での更衣が入浴時しか行っていないのであれば、‘しているADL’として評価してよい。

質問

トイレ動作で尿器などを用いている場合も同じような評価でよいのか?

答え

尿器を当てる際の服の上げ下げなどはトイレ動作として評価します。便で差し込み便器を用いる場合も同様です。

質問

入院初期の認知項目の評価はいつごろするのがよいか?

答え

絶対いつというのはないと思いますが。当院では入院初期のFIMをとる際に、運動項目と同時に評価します。どんなに遅くても入院後1週以内には評価しています。

質問

監視はどこまで含まれるのか? 転倒予防など見守ったほうがいい人などは監視でしょうか?指示、誘導などは必要ない場合です。

答え

監視=見守りです。監視(見守り)、指示、促しは5点となります。

質問

食事のエプロンは服をよごさないように介助者の都合でつけているので、エプロンのよごれを気にせず食べていれば6点になるのか?また、エプロンを拒否して、服をよごして食べている場合はどうか?

答え

エプロンをつけるのに介助をしているのであれば、食事の準備になり5点となります。介助が不要なら6点です。介助者の都合でつけているのであったとしても、実際のADLを評価します。エプロンをつけずによごした場合には、「つけないから、よごすのよ」と指示される場合には5点になります。

質問

口腔ケアで歯磨きをしてもらって、うがいを自分でできる場合は?

答え

すべて磨いてもらうのであればFIM講習会の冊子にもありますように、口腔ケアとしては1点となります。

質問

ボタンが自分でできない人がマジックテープの服にすると6点なのに、かぶりシャツにしたら6点にならないのか?

答え

しているADLを評価、つまり主に着ている服の自立度を評価します。ですので、主に前開きシャツを着ており、マジックテープに改造したりする必要があれば6点です。通常かぶり服を着ている人は、ボタンができなくても時間もかからず自立していれば7点となります。

質問

洗体で足先は届かないから洗わずに、一人で入浴している人は何点?

答え

足先は洗わずその他は自立の場合:介助をしているのでれば点数が下がりますが、介助しないのであれば点数は下がらず7点となります。

質問

食事の際、薬を飲む動作は含まれますか?

答え

「食事」の項目の定義は「食事が適切に用意された状態で、適切な食器を使って食物を口に運ぶ動作から、咀嚼し嚥下するまで」が含まれますので、薬は含まれません。

質問

排便管理では座薬以外の内服薬はどう考えたらいいでしょうか?

答え

便軟化剤などの内服薬を用いて自立している場合は6点となります。

質問

環境的側面によって点数が左右される場合について質問します。例えば「整容:口腔ケア」の場合、洗面台の高さによって口がゆすげなかったりする場合は、どの点を考慮して、点数をつけたら良いですか?

答え

FIMは「しているADL」を評価します。ですので、現在使用している洗面台が高く、口腔ケアに準備や介助を要するのであれば点が下がります。病院では高得点、自宅への外泊訓練で点数が下がるとすれば、環境を変える(住宅改修)必要性があると知ることができます。

質問

家族の方にFIMを説明するよい方法はありませんか?

答え

当院ではFIMは7点満点で必要最小限の日常生活動作を評価しているものであること、6点と7点が自立していること、5点が監視レベル、4点以下では介助が必要であることを説明しています。さらに各項目の意味について説明を行っています。特に、介助しなければいけない項目についての詳細(現状況や以前の状況、今後の見込み)を掘り下げて説明しています。提案しかできず申し訳ありません。

質問

冊子9ページ、移乗のところでフットプレートの上げ下げも含むとは準備としてとらえてもいいのでしょうか?

答え

ベッド・椅子・車椅子移乗で評価の対象となる動作に含まれるという意味です。移乗は自分で出来るが、フットプレートの上げ下げのみ介助してもらう場合には5点となります。

質問

更衣の出し入れは介助者が全て介助している場合はどのように採点したらよいでしょうか?

答え

出し入れは介助者が用意し、その他は自立している場合を考えると、5点です(しているADL)。しかし病院の業務として出し入れがシステム化されているのであれば、個別の準備と考えず7点となります。

質問

問題解決のところで看護師さんに申し訳ないから言えないとかよく聞くが、この場合はどうなるのか?

答え

申し訳ないから言えない場合でも、FIMは「しているADL」を評価しますので、「問題解決ができない」となり点数が下がります。
例:「日常的な問題」として、移乗の際に、転倒の危険性があるためナースコールを押すように伝えられている人が、「申し訳ないから」と呼ばずに一人で移乗する場合には点数が下がります。

質問

冊子10ページ:移乗動作で椅子を押さえていてもらう必要がある場合は4点となっていますが、直接体には触れていないので5点と評価するのは間違いでしょうか?

答え

対象者の体には触れていませんが、ふらつかないために手を出す介助(監視以上の介助)となり4点と判断します。

質問

トイレ動作で尿取りパット使用者において、おしりを拭くことは自立、ズボンやパンツはうまく上げ下げできてもパットがうまくセットできない(よれたり、曲がる)人の場合、パットの整えのみ介助を要しても、評価項目には記載されていないので、自立の7点とみなしてよいのでしょうか?

答え

トイレ動作の項目では主に「服を下げる、おしりなどを拭く、服を上げる」を評価しますが、生理用品の扱いも含まれます。尿取りパッドのみ介助が必要な場合には、生理用品と同等に考え5点までしか下がらない。(生理用品は毎日ではない動作と考え、介助が必要であっても1日あたりの介助量から5点までとしている。尿取りパッドは毎日ではあるが、更衣の‘装具’も介助が必要な場合には5点までしか下がらないので同等と考える。)

質問

階段について、臓器移植患者で治療のため無菌室に入っていて、日常生活で階段を使用しない状況にある場合の採点は?

答え

階段はFIMのうち唯一「できるADL」を評価してよい項目で、テストをして判断します。しかし、現時点でテストができる状態でもなく、実際にも階段を使用していないため1点となります。(この状況では、その他のFIMも減点になると考えられます。)無菌室を出た後の評価の時にはテストすることで点数をつけることは可能となります。

質問

治療でやむを得ず蓄尿管理されている人はどうなるか?

答え

その時点で評価するならば、しているADLとして介助量を評価します。

質問

JCS300の方の採点(動作・認知)は、どうなるのでしょうか?

答え

すべてに対して全介助ですので、各1点になります。

質問

トイレ動作の項目で4点はどういった場合に該当するのでしょうか?

答え

4点といっても様々な状況があると考えられます。(例:着衣を直すときに、バランスが崩れないように支える、たまにジッパーの上げ下ろしを介助するなど。)

質問

急性期の中でこの評価をどのくらいの時間でするのでしょうか?(一般的に)

答え

急性期では回復期や慢性期と異なり、ADL状況も急激に変化していきます。回復期では1ヶ月に1回の評価でかまわないと考えられますが、急性期の場合1~2週間の間隔で行っているところが多いと思われます。1回当たりの評価時間ですが、何かをさせて点数をつけるのではないため、スタッフ同志の話し合いの時間(数分)で採点できます。

質問

パーセントの項目で主観的な把握になりませんか?

答え

できるだけ主観的な把握にならないように、項目ごとに評価される対象、その対象のなかでさらに評価する細項目やその割合などが決められ、点数化されています。(FIM講習会冊子、各論参照)

質問

問題解決の項目:入院中は金銭管理などは家族が行うことが多く、そのような状況・必要がないことが多い。その場合はどう考えて採点すればいいのか?テストとして買い物をしてもらったりなどの評価をするべきか?

答え

支払うのは家族であっても「支払いは済ませたかどうか」など関心を持つかどうかで判断できます。また、複雑な問題としては金銭管理以外にも評価する項目(FIM講習会冊子参照)があります。それらも総合的に考慮し可能かどうか判断してください。

質問

歩行:当院では病棟でのFIMとリハビリでのFIMを採点しています。FIMの考えから反しているとは思いますが、病棟での歩行は主な移動手段でなく、自立に向かうための病棟練習としてFIMを採点しているのですが、よいですか?(例:主には病棟での移動は車椅子で自立している方が、練習として食堂までFIM3程度で歩いています。そのときは低いほうの車椅子の点を採点するのが正しいですか?)

答え

歩行の項目では退院時を予測し、歩行か車椅子で評価するのですが、どちらになるか判断困難な場合には、記録として両方残す必要があり(この場合、病棟でしているADLとして車椅子6点、歩行3点)退院時にどちらかを捨てることになります。

また、FIMは「しているADL」を評価するものですが、「できるADL」としてリハビリでFIMと同じ項目について点数を付けることは、リハビリ訓練や自立へ向かう計画を立てる上でよいことと考えます。しかし、これはあくまで「本当のFIMではない」点を記録に残しておく必要があると考えます。

質問

社会的交流:麻痺が重度で一人では他者と交流することができない方は減点になるのか?

答え

寝たきりの方で覚醒レベルも悪く、交流を行っていない場合、自ら社会的交流をしていなければ1点になります。身体的にのみ寝たきりの状態で、家族や病院スタッフと交流ができるのであれば、その点数をつけます。

質問

社会的交流:他者とは精神面で話したくないといわれる方の社会的交流の点数は?

答え

‘内気’という言葉で許される範囲であれば減点にはなりません。しかし通常の範囲を超えた引きこもりについては、交流において介助者がほとんどの代弁を行わなければならないなど、介助を必要としますので、その頻度で減点します。

質問

記憶:「失語症の場合」で感覚性失語がひどく命令が通らない場合・・・とあるが、当然「全失語」や「運動性失語」でも同じでしょうか?

答え

全失語では同じように考え、採点してください。運動性失語単独では、全く命令が理解できないことは少ないと考えられます。

質問

歩行の項目で屋内と屋外で自立度が異なる場合、屋外も含めて低いほうの点数を付けるのですか?

答え

歩行ではしているADLとして、屋内でのADLを重視して考えます。屋内歩行のFIMの点をつけます。ただし、距離に関する定義はありますので注意してください。
例:屋内(15m)は歩行が自立しているが、屋外(50m)は軽度介助のレベルで歩行している。
この場合屋内を重視し5点となります。

質問

特定の他の患者に対し「中傷」などイジメにつながるような言動をされる場合はいかがでしょうか?本人に差別的発言と指摘しても「間違ったことは言っていない」と主張されています。多少、人道的なリスクがある場合はどうでしょうか?

答え

これは社会的交流の項目で評価を行います。この項目の採点のポイントは、スタッフ、他の患者、家族などと適切に関わっているかどうかという点です。この患者のように「中傷」などの言動をする場合には、迷惑や不快感にあたりますので、適切に関わる頻度によって採点をしてください。

質問

認知項目で、「程度を表すときに、何回に1回というようなところを目安に」といわれましたが、勤務交代があり様々なスタッフが関わる中で、なかなか評価しづらいと感じています。何か良い方法があれば教えてください。

答え

FIMには総論にもありましたが、環境や人によって評価が変わってよいというふうにされています。ですから、個々人での評価をしていただいて、差がある場合にはスタッフの問題であるかどうかなど検討し、治療に反映してください。

質問

会話にて「聞きなおす」ことは介助ですが、「推測する」ことは介助になるのですか?(前後の文脈から推測してわかるレベル)発話であれば、会話明瞭度2「時々わかる」というレベルです。

答え

介助者の推測が必要な場合には、介助になる。その割合によって点数を考えてください。

質問

:ほとんど発話はなく、身体もFIM 1 レベル。ただし、リハビリには協力的で、声かけにもニコニコする人の場合は社会的交流7点としてよいでしょうか?(身体・言語の問題で自発的な交流には制限があります)

答え

身体障害のために社会的交流はできないが「はい、いいえ」のやりとりで患者が礼儀正しくしたいと思っていることが確認できれば社会的交流は7点となります。一方で、寝たきりで全く交流をしていない場合には1点となります。従って、合図ができるかどうか、スタッフとどの程度社会的交流を行っているか、集団の場面など、トータルに考えていただいて、どの程度手間がかかるか、介助が必要かの割合から採点をしてください。

質問

:内気な性格で、他者と関わらないのか、病的に拒否しているのか、をどのように判断したらよいですか?

答え

他者との交流は積極的ではないが、集団に誘えば拒むことなく適切に行動をとることが出来る場合は、いわゆる「内気」な性格と解釈して7点となります。ですから、合図ができるかどうかとか、スタッフとどの程度社会的交流を行っているか、集団の場面ではどうかなど、トータルに考えていただいて、どの程度手間がかかるか、介助うが必要かの割合から採点をしていただければと思います。

質問

トイレ動作での「おしりを拭く」と排泄管理での「後始末」の違いは何ですか?「後始末」とは具体的に何を指すのですか?

答え

水洗レバーの操作はどう分類されるのですか?「後始末」とは、排泄物の処理を指します。したがってトイレで排泄する場合水洗レバーの操作が「後始末」に当たります。排泄後の会陰部の清拭とは区別してください。

質問

ポータブルトイレの準備が必要で、その後の動作が自立の場合何点ですか?

答え

失禁はしないが、ポータブルトイレの準備のみしてもらう、たとえば介助者がポータブルトイレのバケツを取り替えているなどは5点です。

質問

立位でズボンを上げ下げするとき支えてもらうのはどう判断するのでしょうか?

答え

拭いたり着衣を直したりするときにバランスを崩さないように支えてもらう必要があるときは最小介助のもとでできているという判断で4点です。

質問

トイレ動作で3動作ともできていても十分でなく、(衣服を)整える程度の介助を要する場合は何点でしょうか?

答え

各動作の何%を自分で行っているかで考え、その総和が全体の何%になるかを算出する方法で考えてください。3項目全てが最小介助であれば4点です。

質問

更衣下半身で「何動作かに分解して考える方法」とは?

答え

下半身の更衣動作を、ズボンまたはスカート、パンツ、靴下、靴の着脱の4動作に分解し、そのうち何動作できているかで考えます。

質問

全体で何割を自分で着ているかを見る方法を具体的に知りたい。

答え

更衣動作を分解してパーセンテージで考える方法ではなく、更衣動作全体を通して自分で何割を着ているかを見る方法です。テキストの具体例を参照すると分かりやすいです。

質問

入院患者はスリッパを履いていることが多いが、靴の着脱についてはスリッパで評価しても良いでしょうか?

答え

FIMにおける更衣動作では、「社会的に受け入れられる衣服」という概念があります。入院患者の病院内でのスリッパは病院という環境では社会的に受け入れられるものと考えられます。

質問

5項目のうち3項目はまったく行わない場合は2項目を50%ずつと考えますか?例えば、洗顔、整髪、化粧を全く行わない場合は?

答え

3項目を全く行う必要がない場合は残り2項目で各50%と考えて良いです。しかし、質問にあるように、整髪、化粧は入院中行わないことも考えられますが、洗顔は介助者が清拭している場合には1項目と数え、介助していると解釈します。

質問

咀嚼・嚥下を行っているが、誤嚥を繰り返している場合自立していると言えますか?

答え

行ってはいても、本来咀嚼・嚥下に対して何らかの介入を要する状態ですので、自立とはいえません。監視が必要であったり、トロミをつけてもらうことが必要であれば減点となります。

質問

食事の場面で、易疲労性のために自立していても途中から介助が必要な場合は?

答え

FIMではしている動作を評価するので、潜在能力的に自立でも、介助が必要であれば減点となります。介助の割合によって採点してください。

質問

シャワーチェアの移乗は見守りで浴槽からの立ち上がりで介助するときは悪い方で採点すれば良いでしょうか?それとも、項目を分け平均を出すのが良いでしょうか?

答え

浴槽へ入らず、シャワーのみ行っている場合はシャワーチェアの移乗を評価するとなっています。浴槽へ移乗している場合は浴槽の移乗で採点してください。

質問

バルーン留置の場合はどう採点しますか?

答え

バルーンカテーテルを使用する時点で、補助具の使用となり、6点以下に下がります。あとはカテーテルの交換、袋の管理などの介助量が採点対象となり、テキストの具体例を参照すると分かりやすいと思います。原則として、自己導尿と他人による導尿の頻度の比較で判断します。留置カテーテルの挿入、集尿袋を明けるなどの管理を介助してもらっている場合は1点です。

質問

清拭で、10ヵ所のうち数ヵ所に中等度の介助が必要で、残りは自立している場合の採点方法は?

答え

自分でできている部分1箇所を10%として全体で何割できているかを算出します。

質問

きざみ食、粥食を食べて自立の場合は?

答え

嚥下を助ける食事であるので減点となるが、食事の場にいて準備するのではなく、配慮であるので6点。

質問

トロミをつけてもらう場合は?

答え

準備をしてもらうことになるので5点。

質問

副食の形態に一口大というのがありますが、何点でしょうか?

答え

きざみ食と同様、咀嚼、嚥下を助ける配慮であり、食事形態の工夫とみなし、6点。

質問

ほぼ失禁しないが、もしもの時のために紙パンツを使用する場合は?

答え

紙パンツは補助具となるので減点となりますが、紙パンツを使用していても、失敗しないで交換も自立していれば6点です。

質問

くしゃみで尿漏れがあったときは?

答え

自分で始末していれば失敗でないので減点となりません。

質問

オムツを使用していて、毎回失禁があるが、外には漏らしていない。オムツ交換を頼める。何点ですか?

答え

オムツに排泄し、介助者に交換を頼める場合は2点です。

質問

排尿において薬を看護師介助で服薬し、排尿コントロール自立している場合は?

答え

服薬で失敗なく自立している場合は排尿コントロールは6点です。服薬の自己管理に関しては認知項目”問題可決”で採点します。自己管理できなければ減点されます。

質問

便秘薬を毎食服用している場合は?

答え

服薬により、失敗もなく自立していれば修正自立の6点です。

質問

療法士の前では「歩けないので車椅子を押してください」と頼めるが、他患者の前では「私は歩ける」と言います(見栄を張っている?)。その場合、問題解決はどのように点をつけると良いのですか?問題解決では5点ですか?

答え

他患に見栄を張っていたとしても、ご自分の状況を把握し、医療者に適切に介助を依頼できています。実際に危険行動もないのであれば、問題解決の点数は下がりません。

質問

階段昇降について 出来るADLも容認と書いてあるのですが、ご自宅で評価させて頂く時に、平屋の家であれば実施できません。1点となるのでしょうか?

答え

評価は自宅外で実施しても構いません。但し、外出ができないなどの理由で評価自体を行えない場合は、1点と採点します。

質問

自宅の階段が狭かったり角度が急な場合。外ではできるが、ご自宅では恐くて実施できなければ、1点ですか?

答え

階段昇降は、環境による評価の差をなくすため「できるADL」での採点が認められています。自宅外で実施できているのであれば、その時の介助量によって採点を行ってください。

質問

移動について 50mや15mの途中で立ち止まってしまったら、その立ち止まってしまった距離で評価するのですか?それとも、立ち止まってもすぐに歩きはじめた場合、最終的に歩いた距離で評価してもいいのですか?

答え

規定の距離(50m・15m)を移動できるのであれば、途中で立ち止まってしまっても構いません。但し、立ち止まって休憩をする場合、規定の距離を移動するのに通常の3倍以上の時間がかかれば、減点となることがありますので注意してください(7点→6点)。

質問

オムツを使用しているがトイレへ行っている場合、排尿コントロールは6点ですか?

答え

オムツは補助具とみなされます。オムツを使用していても、後始末をご自分でしており介助を必要としなければ、修正自立の6点と採点されます。

質問

移乗動作についてベッドからの起き上がりは全介助ですが、車椅子とベッド間の移乗は2点で行える場合は、1点となるのですか?2点でよいでしょうか?

答え

起き上がりのみ行えず、乗り移ることが自立している場合は、3点と規定されています。電動ベッドを使用してご自分で起き上がり、自立して乗り移りが行える場合には、修正自立の6点となります。移乗に介助が必要である場合には、移乗時の介助量で採点を行ってください。

質問

階段についてできるADLでテストするということでしたが、転倒を恐れてテストできない方、加齢のため難しい方はどのように評価したらいいですか。

答え

評価自体が行えない場合は、1点と採点します。

質問

修正自立の「時間」要素の説明で「3倍以上」との記載があります。「厳密に定義されているわけではなく、概ねの目安として示されている」とのことでしたが、少し時間がかかりすぎる、生活上で不都合を生じているというような、主観的な評価方法でよいのでしょうか?

答え

時間に関しては、何分以上という規定はありません。評価時の主観的な印象で評価してください。

質問

浴槽移乗について洗い場から浴槽の上縁までの高さ、あるいは浴槽の深さについては、日本の浴槽では様々なタイプがあります。どのように考えるべきでしょうか?

答え

FIMの原則として「しているADL」で評価しますので、実際に使用している浴槽で、どの程度の介助を要するのかを評価してください。

質問

階段について蹴上げの高さや、階段の幅に対してどう考えるべきでしょうか?

答え

蹴上げの高さ、踏み面の幅、階段の幅についての規定はありません。少々の段差の違いなどは問わないと定義されています。通常使用している階段で評価してください。

質問

更衣について着ることについての説明のみで、脱ぐことについての説明がありませんでしたが、①動作に分解する考え方を脱ぐ場合にも当てはめてよろしいでしょうか?②脱いだ衣類を洗濯籠に入れることも「準備」として含むのでしょうか?

答え

①脱衣時も動作を分解し、どの程度の介助を必要としているのかを評価してください。
②衣類の片付けも「更衣の準備」とみなされます。

質問

移乗時に引き上げる介助ではなく、立ち上がり時におじぎさせるような下方向への介助は3点になるのでしょうか?

答え

引き上げる介助ではなくても、重心移動は「立ち上がり」の介助となります。その時、触れる程度であれば4点、誘導が必要であれば3点の採点となります。

質問

階段のテストは、1回のみ施行して点数を判断して良いのでしょうか?

答え

複数回テストを行わなければいけないという規定はありません。

質問

術後のパスで階段昇降が開始できない時期に、階段の評価を行う際、やればできると思われるが禁忌で行えない場合は1点でしょうか?それとも、やればできるだろうということで7点をつけても良いのでしょうか?

答え

階段昇降は「できるADL」が容認されており、テストをして評価することができます。但し、安静度の問題などにより、テストが行えない場合に“予測”で評価することはできません。心疾患や荷重制限などの理由で、評価自体が行えないのであれば1点と採点してください。

質問

移乗についてAFOを装着して車椅子⇔ベッド移乗をしている時は6点でしょうか?7点でしょうか?

答え

AFOは立位保持や方向転換のための補助具と考えられます。下肢装具を装着し、お1人で移乗動作を行っている時には、修正自立の6点と評価してください。

質問

浴槽移乗について立って行うことは自分でできないが、座ってなら自分で可能な場合は何点でしょうか?

答え

立位か座位かは問われませんが、座位で行う時に浴槽横の腰掛台などを使用している場合には、「補助具の使用」とみなされます。

質問

移動の評価で、車椅子の例として「50m移動している。角を曲がる時や敷居を越える時に介助が必要」という問題が4点となっていました。「曲がるたびに介助が必要」という3点が正解だと思ったのですが、どうでしょうか?

答え

例題の文章がややこしく、混乱を招いてしまったかもしれません。4点・3点ともに方向転換に対する介助が含まれますが、4点では「方向の微調整」3点では「曲がる度に介助が必要で直進しかできない場合」と定義されています。

質問

車椅子からベッドへ移乗する時、車椅子操作が困難で、移乗する場所まで連れていってもらう場合は、準備の項目にあてはまりますか?

答え

「移乗する場所まで連れて行ってもらう」というのは、「移乗の準備」ではなく「移動」の項目となります。したがって、「移乗」では減点となりません。FIMでは採点の際、各項目が決して重複しないように区分されています。

質問

移乗について体重が軽く、全く下肢の支持性はないが1人介助で可能である場合、2点でしょうか?1点でしょうか?下肢の支持性は多少あり協力は得られるが、体重が重いため2人介助を要する時は2点でしょうか?1点でしょうか?

答え

介助量は、動作のうち患者様がご自身でどの程度行っているのか、介助者がどの程度介助しているのかで評価します。体重が軽くても、ご自身の動作参加率と介助の割合で評価を行ってください。体重が重いため、移乗時に2人介助を必要とする場合には、1点と採点します。