そけいヘルニア日帰り手術

そけいヘルニア日帰り手術

小児そけいヘルニア(脱腸)は小児ではもっとも多い外科疾患であり、幼小児の1%から3%に存在すると言われています。

当院での治療方針

小児そけいヘルニアの日帰り手術始めました!
当院で10年以上の実績のある腹腔鏡下そけいヘルニア修復術(LPEC法)ですが、1歳以上の方を対象に2020年度から日帰り手術を始めました。

初診から手術までの流れ

  • ①初診:診察でそけいヘルニアの診断を行い、術前検査外来と手術日を決定します。

  • ②術前検査外来:血液検査(必要時レントゲン)、手術説明、麻酔科診察、入院説明を行います。

  • ③手術日:手術当日朝に入院していただき、手術を行います。術後は3時間程度病室で経過観察を行い、退院となります。

基礎疾患によっては対象とならない場合があります。どうぞお気軽にご相談下さい。

※現在、新型コロナウイルス対応の手術室運営になっており、手術当日入院が難しい状況です。詳細につきましてはメール・お電話などでお問合わせください。

どのような治療をするの?

そけいヘルニアには原則として外科手術を行います。ヘルニアバンドなどの保存的治療では治癒することはなく、かえって機械的刺激によって癒着などを起こしたりするため、推奨されていません。手術術式は、従来よりヘルニア嚢の高位結紮術(こういけっさつじゅつ)が行われてきましたが、近年になり、腹腔鏡を用いて最小限の侵襲でヘルニア嚢の結紮を行う術式が考案され、現在普及しつつあります。

腹腔鏡下(ふくくうきょうか)そけいヘルニアの手術

最近になって考案された手術方法です。お臍から直径3mmの腹腔鏡のカメラをいれ、内側から観察しながら、そけい部から糸だけを挿入し、ヘルニア嚢の結紮を行います。従来法と比較すると、創痕が小さく(成長するとほとんどわからなくなります)反対側の観察と治療が同時にできると言う利点があります。

左図は内側からヘルニア嚢をみたところです。ヘルニアの孔が開いていることがわかります。この孔の周囲に糸をかけて孔を閉じます。
手術後は右図のようになりヘルニアは出なくなります。

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正常では左図のように閉鎖しています。しかし、症状のない反対側に右図のようにヘルニア(嚢)孔を認めることがあります。同時に手術を行うことにより、将来の発症を予防できます。

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腹膜鞘状突起はもともと左右一対あり、片方が開存している人はもう片方も開存している確率が高くなります。そのため、片側のそけいヘルニアを持っている人は反対側のそけいヘルニアも起こすことがしばしばあり、片側手術後の対側発生率は5%~15%程度と報告されています。つまり、片側の手術を受けた人のうちの大体10人にひとりは、反対側にもそけいヘルニアを発症し、2回目の手術が必要になります。従来の手術法では将来反対側が発症するかどうかを正確に予知することはできません。

腹腔鏡下そけいヘルニア手術では腹腔内から両側の鞘状突起を観察することが可能であり、もし開存していればその場で手術を行うことができます。開存がなければ、対側発生することはないため、対側発生に対する2回目の手術が必要となることはありません。

小児そけいヘルニアとは

小児そけいヘルニアは胎生期に存在している腹膜鞘状突起が、生後も閉鎖せず開存していることが原因でおこります。

開存している鞘状突起に、腹腔内臓器(腸管や卵巣)が脱出するといわゆる脱腸となり疾患として認識されます。このように原因そのものは生まれつきですが、脱腸として発症する時期は人によってまちまちであり、生直後から見られるものから大人になって初めて脱腸が出現する人も少なくなく、一生発症しないで過ごす人も数多くいると言われています。鞘状突起が開存していても脱腸になる人とならない人がいる理由は現在でも解明されていません。

自然経過

小児そけいヘルニアは自然に治癒することは少なく、また放置しておくと脱出した腸が戻らなくなって血流が悪くなり、ひどいときには壊死してしまうことがあります。このような状態を嵌頓(かんとん)といい、小児そけいヘルニアのもっとも重要な合併症です。嵌頓が起こったときにはすみやかに整復しなければならず、それができないときには緊急手術が必要となります。

新生児期から生後半年くらいまでの乳児期早期は嵌頓を起こしやすいと言われており、特に注意を要します。

熟練した医師の手によれば、ほぼ全例で嵌頓の整復は可能ですが、一度整復できても再び嵌頓を引き起こす危険は大きいため、早期に手術治療を行う必要があります。