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手外科・再建整形外科学〈寄附講座〉

スタッフ紹介

教育重点及び概要

 我が国の総人口は、平成17年に戦後初めて減少した後、20年にピークとなり、23年以降、継続して減少している。平成29年9月15日現在の推計では、総人口は1億2671万人と、前年(1億2692万人)と比較すると21万人の減少となった。一方、65歳以上の高齢者人口は、昭和25年以降、一貫して増加し、平成24年に3000万人を超えている。平成29年9月15日現在の推計では3514万人と、前年と比較すると57万人の増加となっている。多くの高齢者が腰痛や肩凝り、膝痛といった日常よく見られる症状を訴えており、厚労省の調査による「国民の不調の訴え」では、筋骨格系愁訴が約30%と最も多くを占めている。以上のように、整形外科が直接関与する疾患や外傷の範囲は極めて広い。このような超高齢社会においては、‘Quality of life(QOL)’という観点からも整形外科に課された社会的使命が今後益々大きくなることは想像に難くない。
 こうした状況の中、整形外科的疾患や外傷に関する基本的知識と技術は、将来整形外科以外の臨床医を志す者にとっても、最低限修得すべき必須のものと考えられる。しかしながら、解剖学、生理学、病理学、神経学、運動学の基礎知識なしには運動器外科学を理解することはむずかしい。基礎的な知識を十分持った上で、整形外科的臨床の勉学、修得に臨んで頂きたいと考えている。
 近年、Scott Levin先生が提唱されたOrthoplastic Surgeryという整形外科と形成外科の境界領域を示した分野が注目されている。つまり、再建外科においては機能的再建が今後重要と考えられている。このためには形成外科のマイクロサージャリー・皮膚軟部の再建に加えて、整形外科の骨、関節、筋腱、神経の再建が融合した機能再建が必要と考えられている。この流れを示すものとして、現在、厚生労働大臣が定める認定機関が認証する専門医の資格に、整形外科専門医・形成外科専門医のほかに、subspecialityとして手外科専門医が認定される見込みである。特に手外科においては機能面と整容面からみた治療が重要であり、整形外科と形成外科の両者の知識と技術を必要とされている。手外科はOrthoplastic Surgeryの代表的診療科といえる。

1)医学講義

 第3学年の「運動器系」では、骨、関節、軟骨、筋肉、腱、末梢神経の損傷について、その解剖・生理・運動学的基礎を踏まえて理解する。この講義を通して整形外科全般を網羅しつつもコア・カリキュラム内容について重点的な修得を心がける。

2)臨床実習

 平成23年度からチーム体制によるクリニカルクラークシップ制を導入し、実習内容の充実を図る。実習期間中講義は最小限にとどめ、person to personの指導の下、第一線の臨床現場を実体験することにより、医学へのモチベーションが高まることが期待される。具体的には、終始指導医と行動(外来、検査、処置、手術、回診、カンファレンスの全て)を共にし、その都度指導を受ける。実習評価は、指導医による評価(実習態度、知識、積極性、など)、担当症例プレゼンテーション、レポートなどの評価により総合的に行う。この実習形態では、知識は自ら勉強もしくは指導医に直接求めることにより獲得し、実習では、担当の患者さんと全人的に向い合う実体験を通して人の痛みを知り、また併せて臨床的技能も獲得すべく積極的に努める必要がある。

3)卒後研修

 平成16年度からsuper-rotation方式による前期研修制度が開始された。当大学ではその後の進路に適うべくいくつかのコースが用意されており、その中で整形外科も早期から研修可能となっている。卒後3年目以降の後期研修で整形外科を選択した場合には、その後4年間で専門医取得資格(新専門医制度に対応)を獲得し、卒後10年で整形外科医としての十分な技能と知識を習得する。同時に、幅広い教養を身につけ魅力と節度ある社会人となるべく努めなければならない。

研究分野及び主要研究テーマ

  1. 上肢の病態生理学及び生体力学
  2. 神経再生・神経移植
  3. 同種四肢再接着など微小血管外科手技
  4. Untied StaySuture法を代表とするマイクロサージャリーを用いた新しいテクニックの開発と臨床応用

※平成27年4月より、医用生物研究ユニットに、マイクロサージャリートレーニングセンターを設立した。整形外科医、形成外科医だけでなく外科などの他科からのマイクロサージャンの育成に努めたい。また、本学学生からのマイクロサージャリートレーニングも行っている。