当科には3人の大学院生が所属しており、ラットを用いて痛みの研究を行っています。
痛みは患者さんの生活の質(quality of life:QOL)に大きく影響を与えます。現在、様々な疼痛緩和方法がありますが、臨床上、コントロールに苦慮する痛みがまだまだ多くあります。痛みの研究は、人によって痛みの閾値が大きく異なることなどから、なかなか進んでいないのが現状です。
痛みには様々な因子が関与している事が知られていますが、その一つとして神経栄養因子が挙げられています。神経栄養因子を阻害することで癌性骨痛や神経障害性疼痛の症状が緩和できるのではと考え、研究を行っています。
〈大学院生 羽間 恵太〉
手術器械をはじめとする医療器材には適切な再生処理が要求されます。その再生処理とは洗浄・消毒・滅菌からなります。これら領域は感染防止などの観点から非常に重要でありますが、科学的に解明されていないところが数多くあります。しかしながら、大学でこれら課題に取り組んでいるところは極めて少ないという現実があります。
当教室では、洗浄の効率化に向けたデバイスの開発(特許取得済*)、洗浄評価のための器材の残留蛋白測定に関わる研究、蒸気滅菌におけるプロセス・チャレンジ・デバイス(PCD)の研究など、この分野の課題に幅広く取り組んでいます。
〈講師 谷野 雅昭〉
日々の臨床の疑問の解決や新しい治療法の発見のために臨床研究は必須となります。当科では心臓外科手術後の出血のリスクや腎傷害の発生のリスクについての研究などを手がけています。また筋弛緩に関する研究や神経ブロックによる疼痛管理についても検討をしています。研究の立案から始まって、倫理委員会への申請、そして実行、終了後の検証などこれまで臨床研究の経験が浅いレジデントにも指導し遂行しています。研究の成果は日本麻酔科学会学術集会、日本集中治療医学会学術集会、米国麻酔学会Annual Meeting, IARSなどにおいて発表しています。
〈教授 戸田雄一郎〉