川崎医科大学は、日本で最初の救急医学教室、総合臨床医学教室を開講し、わが国の救急医療、プライマリ・ケアの分野で先導的な役割を果たし、多くのリーダーを輩出してきました。これらの取り組みの根底には、「臓器にとらわれず患者さんの全身を診ることができる医師の育成」という考えがあります。

　1970年の開学以来、川崎医科大学は、「良医の育成」を教育目標として掲げ、医学教育の改革に邁進してまいりました。創設50周年を経て、改めてこの理念の実現に向けて一歩を踏み出すべく、総合型選抜に「特定診療科専攻枠」を設置することになりました。

　「特定診療科専攻枠」として本学が指定する「総合診療科」「救急科」「麻酔・集中治療科」は、いずれも「全身を診る」ことが求められる診療科です。「初期対応」「緊急対応」「全身管理」は、すべての医師にとって必要とされる医療ですが、本学はその分野の専門家として臨床だけでなく、学生・研修医に対する教育もできる人材を育成することを目的としています。

　医学部入学前に診療科を決定することは、必ずしも容易ではないかもしれません。しかし、入学当初から、救急医療・総合診療・麻酔・集中治療のスペシャリストである専門医と直接接する機会をもち、刺激を受けつつ、目的意識を強く持って研鑽を積むことで、医学生としての6年間を有意義に過ごすことができるのではと思います。

　卒業した時点で、救命救急医療、プライマリ・ケア、麻酔・集中治療、周術期管理に関して、同級生よりも豊富な知識を持っていることでしょう。なお、特定診療科３科のうち、どの診療科を専攻するかは、初期研修修了後に、自らの望む診療科を選択してください。

　医学生として他のカリキュラムや学習内容が軽減・免除されるということはありません。「特定診療科専攻枠」の医学生として教育を受けるとともに、その道のスペシャリストが入学から卒業、専門医の取得までを一貫してサポートいたします。

　本学の建学の理念、本学附属病院及び総合医療センターの病院理念に賛同し、社会の求める医療ニーズに貢献したいという強い意欲と熱意を有するだけでなく、この分野のリーダーを目指す強い意志と高い志をもつ学生が多く集まってくれることを期待しています。